桜花賞
枠は大外。暮れは真ん中の10番枠で、前走のチューリップ賞では3枠3番の内枠。戦績にムラが出ているわけではないハープスターにとって、むしろ偶数枠は有利なほど。
JF組が主力であると同時に、そこに出ていたメンバーが、今回実に8頭も参戦してくる。
桜花賞の登録頭数そのものが少なめだったからあまり参考にはならないだろうが、レーヴデトワール以外の7頭は抽選もなくオートマチックに出走へと漕ぎつけた。
今回も逃げることが予想される二ホンピロアンバーを除けば、みなJFの前の時点で本賞金が500万勝ちの馬より上回っていたくらいだから、モズハツコイはレッドリヴェールとともに直行で花舞台へ駒を進めることとなった。
再戦ムードという優位性に加え、今年裏路線組としていつも侮れないフラワーC出走馬の参戦はなし。
期待されるパフォーマンス以前に、今の彼女なら戦わずしても…、の世間評が大勢を占めるのは当然なのである。
よほどのことがない限りは。
そこで考えたのが、真逆の脚質で勝負できるタイプのチャンスの芽。
ディープもブエナも、いつも以上に策を凝らした自分より前にいた馬を捉えきれず敗れたことは記憶に新しい。
歴史はいつの時代も、先手必勝を粗探しのヒントとして提示してくれている。
本命党以外でも頭にあまり悩まないような競馬で、上位人気馬を逆転候補に挙げるのはあまりセンスが良くないのだろうが、クイーンCで終始掛かりっぱなしだったフォーエバーモアの秘める底力は、絶対候補への反逆を企むには十分すぎる程のように思えてならない。
競馬界では、好位抜け出しをした者を最も巧いレース運びをしたと称賛するのだが、それがハープスターのような破壊者によって木っ端微塵にされてきたのも事実。
ディープがまさにその代表格。
がしかし、能力差がそこまでないと仮定するならばどうだろうか。
俄然、前に行く方が有利になるもの。
ウオッカとスカーレットがそうだった。
ネオユニヴァースの産駒で速い上がりを使える馬はいても、前に行くなり速い時計への対応を求められると脆い馬が多い。
でも、フォーエバーモアは前にも行けるし、差してもそれなりの脚を使える。
JFの大接戦3着で時計面の不安を払拭し、ネオの牝馬は走らないこれまでの傾向を覆してみせた。
マイル近辺に合う高速馬場向きのアウトサイダー色が強い血統構成。また、歳の離れた伯母の孫からはあのジャスタウェイが誕生しているというバックボーン。今ワンダフルな仕事をするには打ってつけのシチュエーションであろう。
マイルなら勝てる。
本命馬が走って初めて成立する理屈。対抗は言わずもがな。