中京記念 -回顧-
予想外に雨が馬場を濡らしたこともあって、想像以上の壮絶な差し追い込みの展開。3連覇のかかっていたフラガラッハが、特別悪い競馬をしたのではなく、サダムパテックにとっては、いい流れになったということだろう。これも想像以上にだ。
まず、恐るべき中山記念組の快走の連続性について触れておかねばなるまい。ダイワマッジョーレが人気面でも、また斤量面もしくは体調の上昇度と年齢との兼ね合いにおいて、同じ中山記念組であれば、そちらを好評価して然るべき部分があったのは紛れもない事実である。
ハンデ戦だから、そういった要素を切り材料にするのもアリだったが、中山記念7着馬(ジャスタウェイと1秒差)が今週も力を見せつけたわけだ。止まりそうで止まらないこの流れ。
そのメンバーで唯一重賞タイトルのなかったエアソミュールも、この中京記念と同じような接戦を制して、立派な男へと成長を遂げた。
新たなステータスが誕生しつつある。
さて。意外な性質が今回の勝者には付きまとう。だから勝てたのだという理由探し。
サダムパテックに田中勝春という不思議な組み合わせが、最近流行りつつある人馬一体型の究極系であるとは思わないが、稍重馬場のGⅠを勝った馬と勝つときは無難な先行策かゴール前強襲のどちらかというパターンの騎手のコラボは、想定を超えた破壊力を秘めていた。
例年通りにゴール前突っ込んでくるのが、中京記念の勝ちパターン。差し馬に有利となる時計を要する馬場状態は、今後とも必ず踏まえないといけない約束事だ。
急坂が苦手だの、重賞になると心許ないといった印象など、人気次第ではいくらでも買い材料になる。
乗り替わって3戦目。西園調教師の強かな戦略が、58の重荷を軽減した。
ただし、馬場がこうならなかったとしたら…。見事な復活劇を素直に喜ぼう。
よって、ミッキードリーム等うまくいった部類のグループや、内に入って差してこざるを得なかったダイワマッジョーレ等の人気上位勢の凡走についてこうすべきだったということもないレースとも言える。
1000M通過60.1秒。これで内から抜け出すことでも敵わない特殊な馬場では、評価のしようがない。
だが、マジェスティハーツが今回マイルで内をついて伸びた内容の評価だけは、簡単にできる。最初からそうすりゃよかったのに…。今からでもまだ間に合う。