夏の修正
エアグルーヴとアドマイヤドンに共通項は多い。
母がオークス馬で、一族は押しなべて人気を背負いながらプレッシャーに打ち勝った者が生き残ることも同じ。
特にこの2頭の場合、トニービンの血を引いたサンデーサイレンスの入っていないGⅠ馬であることも特記事項だろう。
ドンの札幌2戦における陣営の狙いは、秋に向けた準備ともう一つ、軌道修正の意味が大きかった。
札幌記念では、古馬と戦う意義を求めたというよりは距離適性と芝のGⅠで通用するかどうかを確認。
一年後のエルムは、ずっこけ粉砕のフェブラリーSで受けた心的後遺症を癒しつつ、立て直しの成果を図った。
早熟のイメージが付きまとうティンバーカントリー産駒のこと。成長力の確認も必要だった。
ベガの3番仔だけ父が違う。
でも、競走馬になれなかったヒストリックスターもそうだが、インパクトではサンデー産駒のステークスウイナーにも引けを取らない。
3歳で札幌記念。ひとつ年上の二冠牝馬に完敗したあの日。菊の後はダートで、という判断を促した。
ドンの姪にあたる今年の桜花賞馬は、GⅠ5勝馬より少しだけ人気を集めてのレースとなるのか。進む道はそのままで。
乗り替わりのエルムS。
そうなった理由を掘り下げるよりは、ドンのことを考えての最善策と見るべきか。
何せ、この450kg台の中型馬はダートのGⅠで既に結果を出していたのだ。
思えばこの馬は、新馬戦はダート使っていた。この賢い馬に今必要なものは何か。
札幌記念でも人馬の呼吸を再確認する必要のある芦毛の二冠馬と共通する、今欲する何かを陣営は見つけ出した。ドンがGⅠ7勝馬となった理由が札幌にある。