砂の上がり馬
ダート界では、若駒の成長期と重なる季節が夏である。
ゴールドアリュール サンデーサイレンス
サクセスブロッケン シンボリクリスエス
ジャパンダートダービーを圧倒的な走力で制し、芝との決別をするのも夏。
エスポワールシチー ゴールドアリュール
トランセンド ワイルドラッシュ
ミラクルレジェンド フジキセキ
ホッコータルマエ キングカメハメハ
夏に力をつけたダート中距離型のチャンピオン候補は、才能の片鱗を見せ始める。
今年ならインカンテーションなんかにも期待したいところだ。
ただ、アロンダイト以上の上がり馬は思い浮かばない。贔屓のしすぎだろうか。
芝に見切りをつけ、ダート2戦目の東京2100を重馬場とは言え、後続に8馬身差をつけ圧勝。
父はエルコンドルパサー。芝でもダートでも渋った馬場では特別強かった。
天に召されて4年目となる夏。芝路線ではソングオブウインドが、同じく裏路線から力を蓄え秋に備えていた。
デビュー当初から、変わらず540kgを超える迫力ボディーを武器に、真夏の京都・新潟でも勝ち鞍を連ね、また東京2100の準オープンを勝つ頃には、もうその能力を疑う者はいなかった。
そして、大一番。シーキングザダイヤ断然支持を嘲笑うかのようなイン強襲。
前走比プラス8の馬体重546kgはデビュー時と同じ。
成長とそれに伴い勝ち得てきた自信。
天才ダート馬の登場に、皆驚愕するのであった。
しかし…。
怪我をしてしまった。
2度休んだ。
体が絞れなくなっていた。
勝てなかった…。
5連勝して、それ以外は全く勝てなかった馬。
ある意味、日本のダート馬の中で、最も異質な才能の持ち主だったのかもしれない。