凱旋門賞回顧
チームジャパンは完敗。
テン乗りであくまでも牝馬チャンピオンに過ぎなかった対抗馬に跨り、実に落ち着き払った競馬で、レースを完全にコントロールしたジャルネ騎手と末恐ろしい才能を秘めたトレヴに、ただただ驚愕するより他なかった。
素晴らしい。オルフェを渋馬場で相手にしない馬なんて、今世界を探しても彼女以外には存在しないだろう。
一方、上昇力という点で疑問があった日本馬。
重馬場の前哨戦で消耗してしまったかどうかより、仕上げ方が日本式ではこの団子状態の多頭数の競馬に耐えられない。
言いたいことがある。
体重が30kg増えたとしても、体調さえよければ日本馬が反応の差で負けたりはしない、と。
そして、何よりもオルフェーヴルにはスパーリング相手がいなかった。
競馬に行って強い馬なのに、本当に強いと言えるライバルはここ2年でジェンティルドンナくらいしか現れなかった。
闘争心を点火する材料がなければ、最強馬とてアクシデント続きの流れの悪さは断ち切れない。
これも試練だろう。
去年からずっと牝馬に負けていた。
女に弱いなんて、ちょっと泣かせる男だ。
キズナもライバルはいなかったと言える。
後ろから行って勝負になる程度のメンバーしかダービーにはいなかった。
惜しむらくは、オルフェーヴルがライバルでなければ…。
早く仕掛けるしかなかったトレヴとオルフェの存在感が、ゴール前の脚勢に出た。
決して、圏外という力関係ではなかったはずだ。
先行して後続を抑え込めるような、日本馬らしい快活な競馬をする才能が一年でも早く現れてほしい。
何故なら、そんな馬を負かせるほど欧州の馬はスピードがないからだ。