血の先入観
GⅠの谷間で、適性という謎に迷い込んだ。
アスカクリチャンがアルゼンチン共和国杯を快勝。母父はダイナレター。七夕賞を勝ったアフリートの孫。
母父はナリタハヤブサ。七夕賞を勝ったアフリートの仔、という不思議な前例もある。
ダートを使われ続け初芝で2勝目を挙げて以降、船橋に転出するまで芝で走ったドモナラズと比べ、芝のみ一貫して使われきたアスカクリチャンは似たような成長曲線でも背景が異なる。
荒れ馬場は合うが、不良馬場では勝っていないのは同じ。
ダート向きの方が芝で走る。データ上は否定される仮説。ただ、アスカクリチャンがもしダートに参戦しても、きっとGⅠには届かない。
兼用馬は芝も速く走れる。難しい。
西では、芝の重賞馬・ブライトラインがダート重賞初制覇。
カネヒキリが現れてから、距離の壁と同時に芝・ダートの垣根が取り払われたフジキセキ産駒。
総じて、芝のGⅠでは詰めが甘く、ダート向きの馬は本当はもっといるはずだ。
このくらいの時計が合うという欧州鈍重血統のダート参戦組もいるが、そういうタイプは重賞で馬脚を現す。
ブライトラインはその複合体で、能力バランスがダートのこのくらいの時計にフィットしているのだろう。
オープン級にまで育つ馬は、能力バランスのいずれかが突出しているもの。
だから、芝が得意というよりダートが苦手、またその逆というようなやや曖昧な性質で、それでも能力が高いからそれぞれ血統のイメージとは異なる結果が出たのだと思う。
一風変わった個性は能力の裏付け。
まあ、これでも一側面を少し覗いただけの事。
競走馬は、難解な血統のパズル。故に、特殊な解も存在する。