牝馬の国
競馬は牝馬に支えられているのだということを改めて認識させられた。
先週も今週も、その牝馬のレースが面白い。
今年の2歳女王に輝いたレッドリヴェールは、案外ハープスターよりバックボーンがしっかりしている。
ステイゴールドのやや不安定な性質を補完する意味において、ヘイローの母で、また5代母でもあるコスマーの4×5のクロスがよく利いている。
更に、その甥にあたるノーザンダンサーの血が3本クロスしており、まるで狙いを定めて配合されているかのような印象も受ける。
もしかすると、ステイゴールドをつけて黄金配合以上の新たな可能性を見つけ出そうとしていたのか?
エルコンドルパサーにも通ずる多重クロスの妙。
もしもこれが牡馬だったら…。母になってからの成功も十分期待できる。
ベガの孫が強烈な末脚を繰り出し、ジャスタウェイの近親にあたるフォーエバーモアは小倉のレコードホルダーを正攻法で追いつめ、あわやのシーンを演出。
その次に入ったのは、もしかしたら1600でも短いかもしれない配合の函館王者クリスマス…。
競馬はやってみないと判らない、の決定版にみたいなこのレースの掲示板は、勝ち馬の血統力が生みだした結果なのかもしれない。
愛知杯にも、ディープ牝駒の傑作・ジェンティルドンナと同じくリファールのクロスを持つスマートレイアーや06年有馬記念で連対を果たした2頭の半妹などが出走。
エリザベス女王杯も隠れた良血馬の品評会のような趣であったが、血筋が時に実績を上回る波乱を生むのは、彼女たちがいるからだ。
その血脈が日増しに繁殖入りする日本競馬界。
この名血牝馬がいるうちは、未来は安泰だ。