雪降る競馬場で
「ホクトベガ」
交流戦初期のフェブラリーS。この年を境に、冬の名物重賞はダート競馬の最高峰へと進化するのである。
そんな時期だから、川崎記念を圧勝してもここでは僅差ながら3番人気。
雪に霞む神秘的な雰囲気の中、後にクロフネが見せるような捲り上げから、最後は流してゴール。
1年後、砂の王国で彼女の運命を分けたものは、いつもは降らないはずの雨であった。悪戯が過ぎる。
「カレンブラックヒル」
新馬快勝後、2戦目のこぶし賞では期待を背負っての参戦。
道中は晴れたり曇ったり、雪が降ったり。
競馬そのものは、さっと前に取り付き、終始楽な手応えで回ってきただけ。
ゴール前では、冬の柔らかい日差しが各馬を包み込んでいた。
この後の彼の競走生活を、象徴するかの如き空模様。晴れて1着ゴールを早く見てみたい。
あの成人の日の最終レースを勝ったのは、
「ガイヤースヴェルト」
キズナ相手に初芝をものともしなかった毎日杯での激走は、記憶に新しい。
元より雨に降られ、ずっと止まずに雪も混じってきてから第1競走が始まったから、この4レースの時点で、ダートコースにはかなり水が浮いていた。
芝も積雪をし始めた頃、ゲートが開いた。
向正面を駆ける出走各馬の走りは、アップで映し出せば出すほどその概要は見えにくくなり…。
一周した最後の直線、さっき通ったコース上にはもう雪が積もっていた。これで降参。
あれから一年。人間の側は相変わらず雪に翻弄され、学習の成果は今一つといった印象。
風情も何もなくなった雪の脅威にただ慄くだけだ。
ダート戦中心の番組編成の本質を今改めて見つめ直せば、その打開策は導きやすくなる。