最後の一花 ヤマニンシュクル(後)
エリザベス女王杯は4着。とはいえ、スイ-プトウショウと戦ってから1年1か月後の戦列復帰初戦。
その間、戦績でも後れをとったライバルは、スローペースをものともせず、いつもようにゴール前で先行馬を捉え、GⅠ3勝目をあげる。ただ、彼女にとってもこれが最後のGⅠタイトルとなった。
ヤマニンシュクルは、そんな1強の競馬でしっかり存在感を示した4着。
サクラスターオーは、菊花賞を皐月賞からの直行で制し、二冠馬となった。
マックイーンは新馬を含め、休み明けで7戦6勝。芝は5戦全勝だった。
東京とサンタアニタの休み明けで、信じられないような敗戦を喫した祖父ルドルフとて、セントライト記念のレコード勝ちや、逃げ切り楽勝の日経賞がある。
10か月以上の休み明け2戦2勝の父テイオーも然り。
長期休養明けでやたらと強いパーソロン系。
ここでも血のしがらみが、快走をアシストした。
冬のGⅢに2度挑むも、凡走を繰り返すうちに春になった。
中山牝馬S。1番人気、トップタイのハンデ56。1着。押し出された1番人気ながら、外から伸びてきた末脚は、
まさにGⅠ馬のそれであった。
しかし、GⅠでは苦戦を強いられ、得意なはずの北海道でも勝ち切れず。
最後は、2つ下の3歳女王に自由に走ることさえ許されず、脚を傷めてしまう。
鞍上に幸せをを運んできた天使は、勝利の女神にも見放されターフを去った。
辛い思いに浸る四位騎手に、しかし天使は、この日2歳のお手馬をプレゼントする。
3週後の新・阪神で爆発的な末脚を見せる、あのウオッカである。
名牝の時代は、こうして本格的な季節へと向かってゆく。