勝負の血統 ノーザンダンサー系<スピードタイプ>
ストームキャットとデインヒルは、スピード型の種牡馬として世界の血統地図を塗り変えていった。
日本は芝が高速戦で、ダートではスピードを殺がれる。
ノーザンダンサー系は、大抵この真逆の条件を好む。故に、日本の活躍馬は多くない。
ただし、そこは主流系統。
昨年は、ロゴタイプが2歳王者になり、JCDはホワイトマズル産駒のニホンピロアワーズが制した。
春の短距離GⅠはクロフネ産駒が2勝。
10、11年のマイルCSもストームキャットの系統が連覇。
21世紀に入ってからは年1、2頭はGⅠを勝っている。
また、日本で特に走らないデインヒルやストームキャットは、直系と母父に入るのとでは大違い。
フェノーメノとキズナがそれぞれの母父の最高傑作。
競馬の施行条件が合わないとはいえ、和合性の面で他系統のそれを遥かに上回るこの性質が、世界制圧の第一要因であることを示している。
スピードタイプの系統には、底力型のリファールとヌレイエフもいる。
この二つの系統は安定感を欠くので、母系に入った方が成功する。
ノーザンテーストは、日本で最も成功したノーザンダンサー系種牡馬。
デピュティミニスターはダートメインでも、スピードタイプならば芝でもGⅠ級が出る。
そのためか、日本ではダートの一流馬より芝の超一流馬のほうが目立つ。
スピードのあるダート向き血統の方が、日本の芝に向いているのだ。
世界の趨勢は、アメリカから派生したスピード系統の天下。
日本の競馬も、英国式のレース体系とアメリカ血統のコラボレーション。
ただ、代重ねにより例外が急増中。
スピード系統の進化は早い。