最後の一花 ラインクラフト(後)
変則二冠達成から4か月。
夏を越して彼女に突き付けられた、成長と距離という課題。
エアメサイアとの激闘から始まった苦闘のシーズン。
掛かった。仕掛けが難しかった。
エピファネイアとキズナの構図と同じ。
2戦2敗。春は相手にもしなかったのに、距離という壁は、スケール感の差だけでは乗り越えられなかった。
得意のマイルで復活を目論んだマイルCS。
層の厚い4歳勢を中心に好メンバーが揃い、レースレコードで決着。絶対王者・デュランダルに引退を決意させた一戦。3着と健闘も、人気を上回る結果とはならなかった。
極めつけは、最後の12月開催・阪神牝馬S。逃げて失速…。断然人気を裏切った。
勝ったのはユタカ&Aグルーヴ。いいペースメーカーになってしまった。
つい先日とは真逆…。
休んで変わる何かもある。早熟性だけは否定せねば。
スプリント戦の高松宮記念から復帰。
落ち着いた流れから、直線いい脚を使って伸びるも前を捕えきれず。
なら1400で。
勝った。それもエアメサイアに。
自分の庭では負けられない。
これでヴィクトリアマイルは自分のもの!とはいかず。
桜花賞馬は桜花賞馬でも…。
牝馬の復活には時間がかかる。ダンスにはダンスの苦闘がある。
しかし…。
夏の休養がみんなにとって永遠の別れになった。
管理した瀬戸内調教師は、タフに馬を使い込む傾向があった。
最後に勝った牝馬Sも中一週。
しかし、使い込んだ馬をことごとく復活させたのもまた事実。オグリ然り、ネオも然り。
永遠の逃避行。謎は謎のままにしておくのもいい。
ただ、エピファネイアのライバルはクラフトの仔がよかったな、とは思う。