ダービーで変わる
イスラボニータは、ダイタクリーヴァ(12着)・ドリームパスポート(3着)といった前例にみる「血統の壁」を乗り越えられるのだろうか。
幻の三冠馬の仔たちは、総じて距離不安というよりは、詰めの甘さが目立つために、クラシックのような一発勝負の舞台ではなかなか出番がなく、ずっと主役にはなれかった。
が、イスラボニータは歴代の皐月賞馬とも比肩するパフォーマンスで第一冠を奪取した。
時計が少し速くなれば…。距離延長に不安のある馬のために必要な勝ち運。人気を背負う以上、得する何かも欲しい。
こちらも血統がポイント。
「ハーツクライ×タイキシャトル」
奇怪な配合のワンアンドオンリーに託された夢は、ちょっとだけズレた焦点が、ダービー制覇に繋がるかどうかが全て。普通は怪しい。
ただ、ヘイローの3×5でも不良のダービーを勝てたし、同じ3×4を持つ馬がダービー3着後に飛躍を遂げた。
タキオンもステイゴールドも勝てるなら…。
カメハメハも似たような側面はあるが、その筆頭候補は三冠トレーナーが管理している。ステイゴールドの2歳女王も目の上のタンコブだ。
「1着」を信じたい。
大久保洋吉調教師と厩舎所属の吉田豊騎手との絆は、今や廃れつつある師弟制度の産物。
メジロ、シンボリクリスエス、吉田豊の組み合わせに、3歳より古馬、ダービーよりオークスのイメージが先行するのは致し方ないが、ミラクルな豪脚で制した青葉賞親子制覇の勢いは凄い。
父末吉師から受け継いだメジロの血を管理する資格。
愛弟子が乗って勝つことで、最高の餞別を受け取れたなら、小説など本当に面白くなくなる。
不遇な男達に幸あれ。