血視点⑩ 種牡馬ハービンジャー
ハービンジャーが日本に来た理由が未だ解せないままに洋芝の競馬が始まり、思ったより早くいい結果を出したその意外性について考えてみた。
トゥザヴィクトリーの全妹であるギーニョの仔・スワーヴジョージが、函館開催の最終週の芝1800Mで快勝して、産駒初勝利を決めたのだが、翌週開催の替わった札幌の開幕週でも、ジャズファンクが新馬勝ちしたからもう無視することはできない。
後者は祖母シンコウラブリイという良血馬。
ノーザンダンサーの入った良血牝馬との配合で、きっちり結果を出せた意味。
ハービンジャーを形成する父、父母父、母父、母母父にはそれぞれノーザンダンサーが含まれ、うち3者はその直系。欧州型の濃密な同系配合の権化を日本に連れてきたのは、それがこの国の主要血統ではないからである。
高いスピード能力と距離こなす粘り強さを兼ね備えたオグリキャップが、種牡馬として成功しなかった要因として、激戦の連続による消耗と自身より速い馬を生む才能に恵まれなかったことが挙げられる。
そのネイティヴダンサー系の繁栄は、快速レイズアネティヴを送り込んだからこそのミスプロ系の大成功に繋がったわけだ。
だからハービンジャーにだって、祖父デインヒルのような大種牡馬となり得る可能性を少ない大レース経験数から推論できる。
想像の域を脱しないが、オグリキャップとの違いがいい方に出るという見立ても無理筋ではない。
無論、血統構成は違うのだが。因みに、ハービンジャーの中にはネイティヴダンサーの血が6本入っている。
芝の根幹距離であるマイルのGⅠ馬を早くから輩出すれば、未来は開ける。