2歳馬選定 9月
酷暑の影響で有力新馬の調整に遅れが生じたか。思った程のメンツは…。
先々楽しみな馬は、まだたくさん残っている。
一度、この4か月分を整理してみようと思う。
重賞は牝馬が独占。
目標となる最長距離は2400なので、長距離型の馬ばかり追っても意味はない。
故に、新潟、札幌両2歳Sの覇者は、むしろ本番での結果の方が重要なので、勝ち抜けということにする。
そして、スプリント重賞のウイナー2頭だが…、
生き残り
クリスマス
ホウライアキコ
こういう扱いでいいだろう。
2戦2勝。レコード勝ちの箔まで共通する2頭を、どうも煮え切らないOP特別組と同等に扱うことはできない。
強いと思う。
後者は、週末のデイリー杯に登録しているので注目だ。
ただし、新馬勝ちまたは、早いこと未勝利を脱した馬で、まだ1勝クラスに出ていないグループは、ややここまで差のあった重賞馬とその他の間にはハマってきそう。
今年のクラシック世代が、どうも格差が大きい部分があったので、来年ももしかすると…。不安は早めに払拭してほしい。
期待したいのは、
・ホープタウン 小倉<未>
・サトノアラジン 新潟
・プライマリーコード 函館
・ミュゼリトルガール 新潟
それと、アスター賞勝ちのウインマーレライの5頭。
今開催デビュー組では、
阪神
アトム・ヴィンテージローズ・バンドワゴン
中山
最終日のレッドルシアン、ディアデルレイ
500万・オープン特別組では、前記の1頭に加え、最終週の芙蓉S勝ちのマーブルカテドラルが首の皮1枚残した感じ。
後述組はウイン、重賞馬はホウライアキコに味わいを感じる。
アトムとプライマリーはデイリー杯出走予定。楽しみだ。
親子秋物語
ダンスインザダーク-ザッツザプレンティ
天皇賞の親子戴冠は数多く知られるが、菊花賞でもグレード制導入後3度の親子制覇が達成され、そのうち2度ダンスインザダークの産駒が血の継承を体現した。
この親子、社台の名血で兄弟・一族に国内外のレースでの活躍馬多数というバックボーンを持ちながら、3歳春までは煮え切らないレースに終始した共通点がある。
父 キレ味を武器にあと一歩…。
仔 渋った馬場にニンマリも…。
弥生賞を勝った、負けたで差が出た分、仔は人気に推される事はなかったが、ダービーではともに好走。
秋緒戦は2200と2000の差以上に、能力の差があった。
しかし、3000の菊の舞台で全力疾走。
刺激的な魅惑の末脚。
三冠封じの超正攻法。
劇的シーンの系譜。ただ父仔とも、これが最後の輝きとなった。
エアデジャヴー-エアメサイア
この母仔にとって差す形が、奇策であったか否かが運命を分けた。
好位差しの形で前哨戦まで戦っていたノーザンテースト産駒のデジャヴーは、クラシック本戦では末脚勝負に懸けたのだが…。
ファレノプシスは強かった。
オークスは先着こそ果たしたが、ファレノプシスを負かすことに主眼を置いた戦いで、エリモエクセルには及ばず。
同じ血を持つライバルと戦った娘。
適性ではこちらに分があった。
オークスで母娘の血の縛りがジレンマを生んだ。母は秋緒戦を制し本番では1番人気も、正攻法で敗れた。
勝たねば。
見事に、ラインクラフトを返り討ちにした娘。
そして、いいとこ獲りの武豊。
母は、GⅠを勝つために必要な武器が足らなかった。
秋のせいか、こんな話をしていると、つい感傷的になってしまう。
裏秋競馬
欧州の誇りを粉砕する戦い。迎え撃つ非遠征組の選定。引退の花道は香港か否か。
しかし、馬肥ゆる秋。他路線の見どころを探る。
牝馬路線は、近年にない様相。
産経大阪杯完敗のヴィルシーナが直後のヴィクトリアマイルを制したが、凡走続きのホエールキャプチャに苦しめられていたので何とも言えない。
安田記念も小差の8着だったから最有力に違いはないが、初の春秋統一への期待は、過剰なほどに昨年の二の舞が危惧される。
アイムユアーズやマルセリーナが夏に復活を遂げたが、主力級ではなく、3歳路線の平定を目指すデニムアンドルビーも、大分荒削り。
今年のエリザベス女王杯は、実に難解。穴狙いの準備は抜かりなくいきたい。
同じ牝馬ならば、2歳勢は熱い。
ハープスター、レッドリヴェールというチャンピオンディスタンスで結果を出した馬はもちろんだが、クリスマスやホウライアキコの方が、言わずもがなスピードでは勝るわけで、神経の図太さがモノをいうオークス以外は、いくらでも対応できそうな才能を秘めている。
みんなジュベナイルフィリーズに出てくるかも気になるが、朝日杯なんかに出て来ても、いや、もしかしたらラジオNIKKEI杯も?
まだ期待馬がデビュー前の路線。熱が冷めることはないので、じっくり成長を見届けたい。
あと、ダート路線は古馬再チャレンジ組が相次いで敗退。
それでも古馬有利だが、ここは3歳レパードS組に期待。
勝ち馬は中山で見せ場を作れなかったが、サトノプリンシパル、ケイアイレオーネがシリウスSに登場するので、ひとまず応援したい。
クリソライトだけでは切ない。
国際グレードの競馬は、ここにもある。
騎手批評(前編)
<クリストフ>スミヨン
<岩田>ヤス誠
<武>ユタカ
JCの内容は強烈で印象的。また象徴的だった点も同じか。
ユタカは、強かで断然人気で負けてもしらっとしてる。腹の立つほどに。
彼より年下とはいえ、まだ若い2人はよくへこむ…。
人間性という意味では、後者の方が同情できる。
その二人、ショーマンシップに走り過ぎる悪癖を持つ。
好きと嫌いが二分するエンターティナータイプ。あまりやりすぎると、やはりいい気はしない。
その分、先輩ユタカには英語の「smart」という表現がしっくりくる。
加えて、大一番直前の高圧的な言動も目立つが、負けると寂しそうにしている…。
どうなんだか。
速く走らせることに対する強みと、大博打に挑むことの少なさ。
勝負に妥協をすることはないが、ユタカに欠如するのがリスクへの挑戦だ。
時は、凱旋門賞直前。
ホワイトマズル、ディープインパクト…。
スミヨンの大胆な騎乗とは、一線を画す。
凱旋門賞を勝っている者と勝っていない者と乗ったことのいない者。
それを経験していないヤスは、ダートが巧い。
どうせならアメリカ遠征でもしたらどうだ。
園田と中央とアメリカのダートの質の違いを感じるだけで、乗り方に変化が出るはず。
今ひとつ、全体像を捉える力が不足している。
昨年、珍・凱旋門賞となった要因は、スミヨンの日本馬に対する認識の甘さ。
ヨーロッパの馬は、日本馬ほどはキレない。色々な意味で。
だから、今のオルフェーヴルを駆るに相応しい人間はこの中にはいない。
何せ、もう彼は人間に心を開くことはないのだから…。
うまく乗ることを諦める大英断こそが、彼を世界一にする唯一の秘策だ。
サマーシリーズ総括
■2000
日本競馬の中核をなす路線なので、新潟記念の悲哀は何とも言えないものがあったが、GⅠも展望する上がり馬が登場すればこういうこともある。
それにしても重馬場の札幌記念を快勝したトウケイヘイローの成長力は、近年の古馬戦線では出色。
次点のマイネルラクリマにポイントで差がついたが、充実度に大差はなく、ともに晩秋へ向け順調に調整される事を願いたい。
優勝 トウケイヘイロー 22pt
2位 マイネルラクリマ 14pt
■マイル
フラガラッハが皆勤賞でタイトル奪取。今年こそはという、陣営の気合が感じられた。
ローカルでは左回りの2場以外でとれない距離なので数を増やせない。
他路線からの転戦馬にこことのポイント合算を認めるのも、打開策ではあるが。
チャンピオンには来年も参戦願いたい。
優勝 フラガラッハ 12pt
■スプリント
全6戦で、ハイスコアの接戦が展開されたサマーシリーズの華だったが、最終戦でロードカナロアを負かしたハクサンムーンは、ちょっと力が違った。
新潟では、最後までポイントを競ったフォーエバーマークとの対決を制し、路線の主にまで成り上がってみせた。
まだ、先は長い。
優勝 ハクサンムーン 27pt
フォーエバーマーク 19pt
■ジョッキー
13週に及ぶ真夏の一大スペクタクルは、少し影の薄かった岩田騎手が、武・内田両騎手の派手な勝ちっぷりを嘲笑うかのような堅実な得点加算で、チャンピオンに。
GⅢ1勝のみ。が、高額賞金のレースで2着2回は、ある意味では1着を必死に狙っていくより合理的。
この計算高い戦略?で、秋の激戦を盛り上げるのか。
優勝 岩田康誠 54pt
2位 内田博幸 49pt
武 豊