関屋記念 -予想-
4年連続で4角3番手以内の馬が勝っている関屋記念。加えて、3年連続で新潟外回りにしては速い1000M通過59秒を切る展開になってのこの流れ。
あのジャスタウェイが差し損ねたのは、ナンシーシャイン<競走中止>が作り出したハイピッチをマイペースの2番手で折り合い、そのままのリズムを最後まで守り通して33.2秒で追い上げた後のGⅠ3勝馬を封じ込めてみせたレッドスパーダの快走によるところが大きい。
平坦で直線も長いからと脚を溜めたとしても、坂があればこういう流れなら先行馬は粘り込めないのにそれがないから押し切れる、といった理由だろう。全体の流れが速くなった程度でレース全体の上がりが少し掛かっても、追い込んで挑むのではかなり厳しいというデータだ。ちなみに、スローの方が差しが決まりやすく、それでいて時計に差が出ないのも特徴。
乗り替わりで好結果を出して、サマーシリーズ騎手部門の優勝候補となっている田辺騎手のクラレントは、余計な勘繰りをせずとも、有力各馬より斤量一つの重荷を背負っているから前に行くはずだ。
一瞬、短距離の勲章獲得を目指したダノンシャークにしても、内田騎手で変に下げることはしないはず。58はGⅠ連対実績のない馬にはキツ過ぎる気もするし、何より騎手に差して勝負する馬だという先入観がないのもいい。
ただ、その程度の買い材料ならば、古牡馬最低負担重量の56で有力の馬の方が狙い目だろう。力差の大きいレース構図ではない。
別に、来週の一戦に向けたゲン担ぎを目論んだ読みではないが、兄の背中を知るノリ騎手跨るエキストラエンドは注目株であろう。
兄との違いは、前半から行きたがらないこと。ディープの仔という印象が強いのか、中舘・デムーロ・岩田といった先行策をとりそうな騎手が乗っても前にはいかなかった。4角3番手で回ってきたのは、18戦中2回のみ。
無論、ローエングリンの印象も考慮してのことだろうが。脚質がそんなだから、休み明けは基本全滅。急坂を意識しすぎると、勝負所で置かれてしまうのか、一時期は東京でだけ使われていた。
それを今回認識した上で騎乗する名手が、また同じ手に出るとは思えない。
平坦で直線が長ければ、じわっと仕掛けてゆっくり前を捉えに行っても届く。兄と距離適性はそっくりだから、違いを理解した強みは大きい。今回は、流れに乗れないような厳しい展開にもならないはず。
キレで勝負するわけではないので、馬場が悪くても対応可能だろうし、むしろ歓迎か。
ディープらしくない馬が台頭した先週の小倉記念と同じで、今回もここまで中距離路線を牽引してきた中山記念組が不参戦。どうしても賞金加算が必要なサトノギャラントに、馬場が湿っていたとしても頑張ってほしいという意味で対抗。
中山記念組の穴を埋めるというと何だが、レース格相応の底力が求められる展開ならば、ダノンシャークは軽視できない。
マジェスティハーツはスローでも厳しそう。思い切りのいい勝負を迫られる次のハンデ戦の方が面白い。
レパードS -予想-
微妙な要素が満載だ。
まず、土曜日に台風が上陸しそうな状況であるということ。日曜日には新潟近辺でも影響を受けそうだから、よほど進路が変わることのない限りは通常開催は五分五分。
そして、アジアエクスプレスという存在。扱いにくさ◎。常識的に考えて、少なくともこの中にいる重賞馬との力関係は比べるまでもない。
ただし、切りの数的根拠はある。
快走したオキザリス賞の走破時計は1:37.9。2歳馬としては、特段遅いわけでもない数字なのだが、前回の大凡走時は、それを0.2更新したのみの1:37.7。
無論、彼なりに力を出し切ったというレースではなかったのだが、少なからず早熟の弊害が結果に表れたものだとするなら、これ以上の時計更新はなかなか厳しいとも推測できる。距離延長をどう見るか。
あと一つ不安は、ダート戦線の世代レベル。ジャパンダートダービー(JDD)でゴール前接戦を演じた馬が2頭出てきたが、恐らくその時と似たような含水率の高い状態での競馬となるだろう今回は、適性面でのアドヴァンテージはある半面で人気になったらどうなるかの疑問が残る。
大樹の陰に隠れてマイペースでという図を想像できるが、みんなで好時計を作った競馬の後。
過度に期待するのが危険な4、5着馬であることも頭に入れておかねばならない。戦前の段階では、決して抜けた存在はないという見立てが妥当なところか。
だが、アジアエクスプレスの秘めたるもう一つ上の底力であり可能性というものを、早くも出世レースと認知されているレパードSで軽視するのも何だか筋違いのような気がする。
ほとんどが前走1000万勝ちの馬というレース結果であるが、ここから交流戦を含めたGⅠ競走を制した馬がもう3頭輩出し、もれなく路線の中心的存在へと成長。
ボレアスはJDD2着後の参戦。インカンテーションにしても、先日のエルムSで復活の気配を見せた。
その器にあるかを、上がり馬との兼ね合いで絶対的に実績のある馬よりも晩成型の多いダート戦では、これから走りそうな馬の方が有利なのはあくまで常識的な傾向であり、アジアエクスプレスのような規格外の馬にとって不利な要素とまでは言えない。
非常識なローテーションからリズムを崩すことは、若駒でなくてもよくある話。
まあ、神風が吹いても吹かなくも、彼自身に速く走ることへのプライドが残っているのであれば、天も味方するような気はしなくもない。
一点。馬場に関係なく、時計面での進境は示さねばならない。ただ、距離が伸びると自然と速さで勝負する形になるから、皐月賞を2分丁度で乗り切った力を見せられたら、直線独走もあり得る。
時計勝負で増々好走要因が揃ったレッドアルヴィスと前年覇者の半妹スピナッチが本線。
ダート戦なので、オールウェザー的要素が反映された平穏な決着になると考える。
小倉記念 -予想-
さて、土曜の小倉開催は予定通り行われることになったが、今週開催のレースは、一体何曜日に施行されるのだろうか。
台風が逸れたら逸れたで、今度は新潟の開催も危ぶまれるし、ただでさえ雨がずっと降っているから、日、月曜の開催では雨の影響が馬場に大きく出てしまう懸念もあり、不穏な空気が既に漂っている。
JRAの重賞競走の収支に関する皮算用を慮ってみると、来週は関屋記念しか重賞がないわけだし…。ともかく安全第一である。
神にも読み切れないだろう最近の日本の空模様を、予報に沿ってレース展望することの危険性は大いにあるが、月曜開催でも雨の影響は必ず残る。
近4年全て1分57秒台で決着しているレース結果とは、やはり一線を画した展開になるとみて、ここはネオユニヴァース産駒のタガノグーフォを一押ししたい。
去勢して時間が経っている点では、今年も有力のメイショウナルトとは明らかに違うのだが、戦績そのものは酷似してる。
鳴かず飛ばずの日々が突然終わり、今まで良績のなかった芝の中距離でも通用するようになった。
ダートで2勝なんて、アジアエクスプレスとも共通しているが、何より斤量が1kg減の53が魅力。
最後の「牡馬」時代に小倉戦で跨った小牧騎手を再び迎え入れ、時計勝負向きの人気勢に一泡吹かせてやりたい。
クイーンS -予想-
先週の雨の影響については、そこまでおおげさに捉えるべきことでもないだろう。降ってきてからでも対処できる。
狙い目は先行タイプと相場が決まっているレースだから、
オツウ
ケイアイエレガント
コスモバルバラ
フィロパトール
それらに続く、
アイスフォーリス
キャトルフィーユ
サンシャイン
マコトブリジャールのいずれかが残って…。
ただし、先行馬有利の競馬だと分かっているならば、有力の差しグループの何頭かが型を崩して先行位置を取りに来るだろう。ましてや、いいメンバーの揃った重賞である。
自在に立ち回れ、重賞で何度も先行しているような馬であれば、相手如何で単騎逃げも想定されるわけだが、差し馬が強くて怖いとなると、自然と意思表示が明確化される場合が多いので、ペースが上がるか下がるかはっきりしそう。少なくとも、単純な先行有利の競馬とも思えない。
各馬陣営の狙いもバラバラで展開の読みには自信が持てないので、少し速い流れになるとみて切り口を変え、詰めていく。
マーブルカテドラルの使ってきたレースは、決まって逃げ馬が潰されるか、きっちり残るかのいずれか。競馬というのはそういうものではあるが、どこでもぼちぼち結果を残しているこの馬は、自分の形を崩されたことが一度もないのだろう。必ず、ゴール前は詰めて来る。
春の二冠はともに、単勝50倍を遥かに超えた支持に止まったが、歴代のクラシック戦線でも屈指のハイレベルなレースを2歳戦から繰り返してきたから、桜花賞が0.5差、最後は止まってしまったオークスも1秒離されずに6着と期待以上の結果を残すことができた。
個体の能力が決定的な能力差を示すような突然変異型の出現があったならば、もっとレースは壊れていたはずで、こういった安定型の好走も望めないのだが、結果はそうではないことを示しており、この馬も世代のセカンドクラスでは上位の能力を持っていることが証明された。
皆が常に力を出し切ったレースの後だから、無論、反動の危険性は考慮しないといけないが、古馬並みに強い馬と何度も対戦していれば、オークス完敗組が何頭も馬券に絡んでいるように、斤量利も手伝って経験の差は相殺される。
ハイレベル世代の3歳馬がよく来るというのは、当然のことなのだ。
その点、古馬勢は棲み分けがはっきりしていて、鎬を削るほどの激闘にまでは至っていない。
一応、馬の距離適性と騎手のレースへの相性の良さを買ってスマートレイアーを番手とするが、一度くらいはメイショウマンボに…。それがマーブルカテドラルと似ているから推しただけだ。
サンシャインは、夏にあまり使っていないからわからないが、姉同様スイッチが入ることも考えられるから、アロマティコのよりは多めに押さえたい。
中京記念 -予想-
暑い。もう7月の末だから、当たり前なのだが。
桜のつぼみがもうひと粘りしてまだ開くには早い時期に行われていた中京競馬場の名物競走も、大幅な改修工事後、ハンディキャップ競走の条件こそ引き継がれたが、その性質は大きく変貌した。
真夏のマイルシリーズ初戦に位置づけられることになった中京記念は、これまでフラガラッハの圧倒的なコース適性により、彼の独壇場と化してきた。無論、3連覇を懸けて今年もここに挑んできた側面はあるが、一昨年はここを勝って秋まで休むも結果は出せず、昨年も残るシリーズ2戦で共に二桁着順と、その他であまりにも芳しくない戦績が残っている。
エリモハリアーやメイショウカイドウのような同じ型にはめて相手の長所を少しでも削り取れればという、特定の条件で特化した能力を示すタイプだろう。
だからこそ、前走の鳴尾記念3着というのが、距離延長作戦の成果だとすれば、今のフラガラッハはパワーアップというよりマイナーチェンジした印象を受ける。
また、今年もそれこそ春の2000M時代と似たようなオッズが表示されることとなるはずだが、少なくとも3年目のマイル中京記念としては過去最高のメンバーが揃ったと言える。
GⅠ馬もGⅡ馬も、春の重賞好走馬も何頭か出てきたから、出入りの激しいマイル路線らしいタフな戦いになる。
本線とするには、何か他の要素が欲しいところだが、雨が降ってくれればの望みは叶いそうにない。
こちらも雨が降ると走る印象のあるダイワマッジョーレは、雨の中山記念で8着以来の実戦となる。
これまで夏にあまり走らせてこなかったのは、不得手とかではなく、この馬が消耗によるパフォーマンスダウンが顕著なタイプであるからだろうと思う。
下級条件時代には例外もあったが、連続好走する時は決まって前走と中4週以上開いている。
それもこれも、父には似ず440kg前後の体で、毎度毎度路線のトップクラスの馬が集まる重賞に挑み続けるための戦略。
だが、秋にスワンS-マイルCSで連続2着した時から4戦連続440kgをキープして使われて、なおかつ都合7戦連続体重減なしの充実ぶりには、父の域に近づいてきたという見立ても筋違いではないはずだ。
よって、ここに休み明けで挑んできたことも体の小ささも、今のダイワマッジョーレには重箱の隅をつつく要素に過ぎないというのが結論。
同期のGⅡ馬で、今一つ突き抜けられないクラレントにも同じく57.5という重い斤量が課せられているが、正直実力勝負なら格上の2頭だろう。安田記念組なので、一応対抗止まり。
4週連続ハンデ重賞開催で、53以下の馬がまだトーホウアマポーラ1頭しか来ていないのは逆張りのチャンスか。
3歳52のマイネルディアベルは、よーく血統表を覗いてみるとフラガラッハと共通する血が多く、タイプも似ている印象があるから、こちらの方が面白いので多めに買いたい。