勝負の血統 ノーザンダンサー系<欧州タイプ>
競馬界の中心的存在、世界のチャンピオン血統である。
キャメロットもフランケルも、あの憎き?ソレミアも、みんなノーザンダンサー系。
ほとんどの良血馬がこの系統だから、GⅠを勝つ回数も必然的に多くなる。
モンジュー産駒のキャメロットが三冠奪取失敗後、オルフェーヴルの大斜行劇の裏で、父の時と同じ条件でのコンディションでありながら、全く見せ場を作れず馬込みの中に埋もれてしまった姿に、一つ下の皐月賞馬ロゴタイプの未来が見え隠れする。
サドラーズウェルズを共通の祖先に持っているが、日本で思われている以上に完成が早く、長距離耐性がさほど強くないのが特徴。
日本は高速馬場だから、長いところでもスピード決着が多いのであまり気にはならないが、長年サドラーズウェルズ産駒がエプソムダービーを勝てなかったのも、その本質が影響しているのだろう。
直仔のモンジュー産駒も、当地では反応の良さが売りで、明らかに中距離タイプの底力型なのだ。
現にオペラオーもサムソンも、古馬の2000M戦で圧倒的なパフォーマンスを見せている。
ロゴタイプに期待するのは、皐月賞馬・ダイワメジャーのような脚質も成長力も二枚腰という奥深さ。
父も祖父も古馬になってから実力を発揮したが、スピード型は早くから活躍するもの。
日本の高速馬場をこなし、かつ時計面でも優秀な記録を残したサドラーズウェルズの支流。
オペラオーもサムソンも、絶頂期を過ぎてからのGⅠで凡走していたわけではない。
この系統は、本格化後も息が長い。
皐月賞制覇は吉か凶か?
日本のノーザンダンサー系の進化過程を体感できる。
宝塚記念<裏>回顧
悪いことを思いついたので記しておく。
まず、
「良馬場なのに、2:13.2」
ヒシミラクルでさえ12秒台で駆けていたので、ちょっと特殊すぎる馬場。
一応、無事なら少なくとも1頭はこの中から凱旋門賞に挑んでいく馬がいるわけだから、ちょっと気になる。
11秒台が当たり前の21世紀の宝塚記念。
流石に馬場差はあっても、似たような荒れ馬場を10秒台で駆け抜けたオルフェーヴルと比べ、完璧さの点で物足りなさを感じる。
でも、ゴールドシップはレースを登録していない。これじゃ負けた時に文句言えないし。行きなさいっ!
あと、ジェンティルドンナ。
ローテーションは完全に凱旋門賞に向けてのものだから、それはいいのだが、正直この時期に完全に仕上げても十分再調整できるのに、何故こんなに間隔を空けてまでここを使ったのか?
そんな勝負をしていると勝ち運が逃げると思うのだが。
第一、これは思惑通りのスケジュールだったわけだから、10kg増こそ問題ないが、休み明けの気配も少しあった馬の出来に、少々ケチをつけておきたい。
「何を勝ちたいんだ?」
パリに行くなら、アスコットのレースを目指しても悪くないのだが…。
フェノーメノはパワー負けだから仕方ないとして、トーセンラーはちょっと意気込みすぎだったろうと思う。
京都が得意なのだから、急坂はダメなわけで、マークする馬がいっぱいいるのに番手を目指すというのは、明らかに戦略ミス。
結果そうはならなかったが、馬場を考えたらシルポートを4角手前で潰しに行くとか、ツルマルボーイ的追い込みに勝負をかけるとか…。
馬券を外したから、愚痴ってみました。イライラ。
新馬回顧 6/21・22
土曜日
ユタカマークの展開も、馬場適性の方が重要だった阪神戦。人気薄激走のクリノジュロウジンはギムレット産駒。1200どうこうより時計を要する馬場が合いそうな牝系の血統構成。混戦で台頭の色合いが強く、負け組ももっとパワーアップできないときつい。
東京も人気のレヴアップスピンが逃げる展開。6月にハイペースはあり得ない。ただ、馬体重以上に小さく見える体つきはあまりに幼く、残念ながら非力さの方が見立っていた。それにわずか2kg及ばないヘルスウォールの仔マーブルカテドラルの末が素晴らしかったから、また切ない。パンパンの方がよさそう。でもまだ梅雨時だし、今週もやってきたマツリダゴッホ産駒ともども、上位3頭はマークが必要だ。
日曜日
東は、クラシックではあまり見かけない、ブロードブラッシュ×マジェスティックライトという配合の母を持つマイネグラティアが豪脚一閃。ゴールドティアラが母である人気のドリームティアラの万全の抜け出しを見事に捉えきった。全体の時計も上がりも掛かっていて、どうもダートの匂いが…。季節が変わって、どこまで芝でやれるか?
西は注目の一戦。こちらもネオの産駒が勝利。ピオネロの末脚は、馬場もあるだろうがここでは迫力が違った。母父キャンディストライプスで母方に南米の風が吹き込んだ地味目の配合は、ペルーサに通ずるところがある。うまく育てていきたい好素材。
レッドラヴィータは兄同様使ってから。マウンテンは大きすぎ。人気のヴァンクウィッシュは現状のベストの策。未勝利でもたもたすると出世に響く。
北は、函館2歳S以降も楽しめる馬の登場を待ちたいところだ。
サマーグランプリメモリアル
みんなが楽しみにしていたレース。
もっと語りたい。
有馬記念ほどトリッキーなコースではないから、劇的シーンというよりも予想されたようなマッチアップが今まで実現してきた。
グラスワンダー×スペシャルウィーク
メイショウドトウ×テイエムオペラオー
アドマイヤムーン×メイショウサムソン…
1強の歴史は古くからある。
シンザン
ハイセイコー
メジロマックイーン
ビワハヤヒデ
マヤノトップガン
ディープインパクト
オルフェーヴル…
ただ、最も熱かったのはこのレースだろう。
03年、第44回。
これはアグネスデジタルからヒシミラクルへの転がしを見事に成功させた、謎のおじさんの登場したレースである。
現調教師・角田騎手におめでとうと言わしめた、競馬史に残る奇跡の競馬。
前年の春秋グランプリホースに、前述の天皇賞馬2頭。
後にGⅠ馬になるツルマルボーイ・タップダンスシチーは、ここでは脇でいい仕事をし、史上初の3歳クラシックホース参戦でレースを賑わせたネオユニヴァ-スは、直線力尽き…。
GⅡ大将も、ダート2大タイトルを持つ馬がそれぞれ出てきたこともお祭りレースらしいし、この時逃げたアサカディフィートは、4年経っても重賞を勝っていた。
日本に存在する全てのタイプの名馬たちが、その多種雑多すぎる個性を出し合い、皆を興奮の坩堝へと誘った。
2億円おじさんは除き…。
ときめきのサマーグランプリは、この時から始まった。
以降、15頭以上で7回行われ、それまで4回しかなかった多頭数でのレースが幾度も名勝負を生んできた。
夢のグランプリに新たな時代の到来を告げたターニングポイント、とも言える。
宝塚×ステイゴールド
今年も3頭が出走してくる。
ステイゴールド産駒がこのレースで異常に強いことは知られるが、昨年以上に強力なラインナップになるかと思っていたら…。
でも、まだ主役はいるから凄い。
オヤジの夢は叶わなかったが、俺たちが走ればきっと喜んでくれるだろう!
VIVA!ステイゴールド!!
フェノーメノ
滅多に二番の利かないステイゴールド産駒にとっては、オルフェーヴル超え、ある意味では凱旋門賞に通用するレベルか否かを証明する最高の舞台である。
勝ち馬2頭が凱旋門賞<道悪>で好結果を残している事を考えれば、秋に日本で走っても引き続き期待できる。
天皇賞の走りが再現できれば、JC馬に見劣りすることはない。
ゴールドシップ
芦毛の二冠馬って、どこがステイゴールドなんだという感じはしないでもないが、あの全く言うことを聞かないスタート後二歩目からの走りを見ていると、おじいさんとは違う。ただ、ここは冗談抜きで今後を占う意味でも極めて重要な一戦だ。
雨が馬場状況に大きな影響を与えそうな週末。皐月賞の時よりか幾分悪いくらいの馬場で、追い込み不発などとなれば、見せ場を作れる場所が限定されてしまう。言い訳のできない勝負の一戦となりそうだ。
ナカヤマナイト
凱旋門賞遠征計画の帯同馬は、もう五歳になった。故に、安田記念を使うという勝負のカードを切ってきたのだが、高速決着で見せ場も作れず。
ましてや1800がベスト。ただ、雨予報が続く週中以降の空模様いかんでは、ダービーくらいの走りができれば面白い。
タレント豊富なステイゴールド産駒。全ての出走馬にとっても、ターニングポイントとなる大一番だ。