社台血統への不満
あくまでも、個人的な不満である。
高度な血統図の設計をする責務を果たさなければ、主要生産国のトップブリーダーの名に傷がつく。
「狙いはもっと広く」
何せ、日本のチャンピオン血統なくして、日本馬が欧米の名馬に伍して戦うことはできないのである。
大切な武器なのだ。
自己満足の理想論だが続ける。
サンデーサイレンス系種牡馬の扱いは、常に気を使わねばならない。
仕方なく一つのものに頼りがちな中小生産者とは一線を画した毅然とした態度で、大衆迎合など糞食らえという姿勢を貫き通してもらいたい。
個人的には、マイナーサンデー系は日本に置いておくべきではないと思う。
理由としては、日本にはまだ互換性のある対等な競馬先進国との血統交流がない点。まだまだ輸入偏重である。
牝系のレベルアップは明白で、欧州の特にドイツの世界的名牝系の出身である繁殖牝馬の導入により、真の良血馬の生産に成功している。
でも、ただ買い付けるだけで、流動性を持った輸出入を行わなければ血の行き詰まり現象が起きるのは当然のこと。
種牡馬を輸出し、その国での産駒の成績なり仔馬の出来などから、相性の良さそうな他系統を抜粋し、売却益で購入する。
生命倫理の観点からして、兄弟馬の血統を過剰提供することには配慮が必要である。
それはやっているといっても、今ヴィクトワールピサやディープスカイを売りに出す勇気はないはず。
いらないのではなく、必要なものを厳選すべきなのだ。
社台はもっとこの点を重要視すべきなのである。
負けた馬にも可能性がある。
気付くべき時がきた。
「マックイーンの存在意義」
次は、これを自分で作ればいいのだ。
夏重賞の掟
特徴的なのは、ローカル戦だけあってチャンピオンサイヤーがさして目立っていないということ。
「SS系過信禁物」
「ノーザンダンサー系活躍」
この二つは、近3年の顕著な傾向である。
直線の1000Mや、純度100%の洋芝競馬など特殊条件の重賞が開催され、GⅠコースで求められる能力とは明らかに異なる。
アイビスSDの牝馬優勢の流れは有名だが、サンデー系未勝利という点も見逃せない。
ヘイルトゥリーズン系唯一の勝ち馬にして、最初で最後の連対馬がテイエムチュラサン。
日本を制した血が、このレースの優勝ラインでは通用しない。
ちなみに、ノーザンダンサー系は過去12回のうち4勝と最多で、続いてナスルーラ系が3勝。ダート経験もプラスとなる条件だけに、この結果もうなずける。
ラジオNIKKEI賞は、11、12年と夏の重賞路線では不振のディープ産駒が人気にきっちり応える形で連覇しているが、その他では、関屋記念レコード勝ちのドナウブルーとレパードSを勝ったボレアスの2頭のみ。こちらはサンプルが少ないので多言は避けるが…。
どこかで見たような傾向は、札幌記念にも該当する。
ハンデ戦でなくなった97年以降、SS系が4勝も牝馬が3度制しており、人気牡馬は壊滅状態。
時計が主要四場並に速くなっているから絶対ではないが、決して無視できないデータである。
SS系人気馬は、今年のサマー2000シリーズで2戦1勝。七夕賞は好時計決着で父チーフベアハートが勝利も、母父サンデー。
傾向変化の兆しも。
どんなにローカル向きの性質を持っていたとしても、各場の主には敵わない。
この掟は、いつ何時も揺らがない。
新馬回顧 7/13・14
土曜日は3場とも1200戦。
特に際立っていたのが、中京戦で人気に応えたラブリープラネットの末脚。
直前の雨でかなり馬場は湿っていたが、血統面のアドヴァンテージもあったか、エンジンの掛かりも良く、実に見事な勝ちっぷり。現状世代NO.1のポテンシャルとみる。
渋った条件は福島も同じ。レースはロゴタイプの出たベリアーニ系を、オグリ兄妹、キョウエイマーチのいるシュリリー系が差し返すというゴール前の構図。
いかにもの二枚腰で、味のある競馬だった。
函館も差し返しという点では福島と同様も、こちらは人気を集めたヤマノハヤブサの仕掛けが、現時点では強気すぎたのかもしれない。成長力はありそうなので、使われ良化するはずだ。
日曜日は、中京で注目馬の対決。ロードカナロアの半弟とベガの孫が対決する構図も、現状能力差断然といった感じで、ベガ一族にしてはボリュームのある体を持て余しながら、ハープスターが1番人気に応えた。
2番人気のロードストームは、デビューも早かったのだろうが、ナゾの息子とて地味すぎる血統背景のオウノミチを交わせなかったのは残念。
じっくり焦らずでいきたい。
福島では2戦が行われ、波乱の1800戦は、血統に騙されやすい新馬戦ではよくある過剰人気馬の不発。
軍団の圧倒的な質量両面の充実を示したマイネルグレヴィルの圧勝劇だったが、2kgもらいと夏に強いオカノブルー系という勝因に加え、人気馬との完成度の差が勝負をわけたか。
6Rの1200は混合戦。人気のユールドゥーがうまく立ち回り快勝。
外を回っては…、の競馬。
今週は、人気馬の今後を長い目で見ていきたい印象が残った。
勝負の血統 ノーザンダンサー系<スピードタイプ>
ストームキャットとデインヒルは、スピード型の種牡馬として世界の血統地図を塗り変えていった。
日本は芝が高速戦で、ダートではスピードを殺がれる。
ノーザンダンサー系は、大抵この真逆の条件を好む。故に、日本の活躍馬は多くない。
ただし、そこは主流系統。
昨年は、ロゴタイプが2歳王者になり、JCDはホワイトマズル産駒のニホンピロアワーズが制した。
春の短距離GⅠはクロフネ産駒が2勝。
10、11年のマイルCSもストームキャットの系統が連覇。
21世紀に入ってからは年1、2頭はGⅠを勝っている。
また、日本で特に走らないデインヒルやストームキャットは、直系と母父に入るのとでは大違い。
フェノーメノとキズナがそれぞれの母父の最高傑作。
競馬の施行条件が合わないとはいえ、和合性の面で他系統のそれを遥かに上回るこの性質が、世界制圧の第一要因であることを示している。
スピードタイプの系統には、底力型のリファールとヌレイエフもいる。
この二つの系統は安定感を欠くので、母系に入った方が成功する。
ノーザンテーストは、日本で最も成功したノーザンダンサー系種牡馬。
デピュティミニスターはダートメインでも、スピードタイプならば芝でもGⅠ級が出る。
そのためか、日本ではダートの一流馬より芝の超一流馬のほうが目立つ。
スピードのあるダート向き血統の方が、日本の芝に向いているのだ。
世界の趨勢は、アメリカから派生したスピード系統の天下。
日本の競馬も、英国式のレース体系とアメリカ血統のコラボレーション。
ただ、代重ねにより例外が急増中。
スピード系統の進化は早い。
マイナー種牡馬の矜持
エイシンサンディ
「中央のセイクリムズン」
現役産駒の稼ぎ頭は、さきたま杯で2着好走後、力勝負のプロキオンSでもまた2着。7歳シーズンも元気いっぱい。
父の名も上がって鼻高々だ。
エイシンサンディは、決して父の血を買われただけの種牡馬ではない。
母父はノーザリー。
牝祖フロリースカップからシラオキを経ない傍流的存在も、それはニホンピロウイナーやセイウンワンダーも同じ。
このラインはガーネットを経ており、一族にメイショウサムソンがいる。
サンデーサイレンス2世代目。同期はダンスインザダーク、イシノサンデーにバブルガムフェロー。SS前期のブレイク世代だ。
あまりにも有名だが、この馬は未出走馬。
中央の所属も、いとこのトーホウドリームのように大仕事をすることはなかった。
4連勝で桜花賞に挑んだエイシンテンダーが牝馬の代表産駒。
基本的に、数多存在する「兄弟種牡馬」にいい血統の馬は持っていかれてしまうため、マイナーな血統構成の繁殖牝馬が相手になる。
この馬は母父タイムフォーアチェンジ。テディ系でダマスカス直仔だが、印象的な存在ではない。
「母父ターナボス」
ミツアキサイレンスのこと。
ターナボスは、トウルビヨン系の超マイナー種牡馬。
父ブレイクニーはキングカメハメハの母母父ではあるが、同系パーソロンの仔とは比較にならないほど重厚。
このおじいさんがいたからこそ60回も走れたのだ。
ダート巧者が多いのは、単純にスピード不足だから。
ただし、この牝馬のレベルで母方の長所を引き出すポテンシャルは父似で侮れない。
隔世遺伝も…。
セイクリムズンも在来牝系。
いずれはお父さんに…。