新馬回顧 12/21・22・23
中山ダ1200は、人気の米産馬シャラクが人気に応えた。馬場は不良。
稍重のマイル戦は、アグネスデジタル産駒のオウケンブラックが競り合いを制し勝ち上がり。母父アサティスで、先週の流れそのままの印象。
雨馬場の阪神は、ワイレアワヒネが牝馬戦を圧勝。父、母父ともに兼用タイプの種牡馬で母も芝・ダ両方で勝っている。牝系は優秀で、芝でも期待できる。
ダ1200(重)も、タイキシャトル産駒のメイショウワコンが快勝し、ダート色の強い血統が新馬を席巻した。
日曜は東西1鞍ずつ。
東の一戦は、最後に来て大物の登場を予感させた。
後方から母ラッシュライフとまるで違う豪快な追い上げを見せ、直線も楽な手応えでアデイインザライフが快勝。
とはいえ、父はディープなので不思議ではないか。サンデーはバクシンオーと好相性だったが、孝行息子はどうなることやら。楽しみがいっぱいだ。
回復途上の阪神では、2番手から抜け出したサクラエールを始め、二桁オッズの馬が上位を占めて大波乱。フルゲートらしい。
月曜の中山ダ1200(稍)と阪神芝1800を勝ったのはゼンノロブロイ産駒。
中山で勝ったヒカリヴェロニカの母は、ダートの短距離専門だった。時計短縮が鍵。
阪神は、クラシックの実質最終便的意味合いのあった好カードで、近親がスプリンターズSで好走した2頭のワンツー。
快勝したスリープレスナイトの甥・アドミラルタイプは、京都も走れれば上を目指せる。
残りのダ1800は、東(稍)がハナ差でマイネルセレクト産駒のカネコメオスターが、西(重)はケイムホームの牝駒エスシープリンセスが今日も大穴をあけて、初陣を飾った。
有馬血統を探る
このレースで親仔制覇を果たした和製王者の系譜は途絶え、代わりに同系のメジロマックイーンが母の父として大ブレイク。
昨年の同父産駒のワンツーは、ディープインパクトがハーツクライに敗れた05年以来。
この二つ、ステイゴールドが深く関係している。
3着が最高で、特段得意条件にも思えないから色々とその特性について考察してみたのだが、サンデーサイレンス産駒でこのレースを勝った馬は、2500M以上の重賞を他にも制していたり、洋芝のレースを勝っていた。
ハーツクライは、ここを勝った後ドバイやアスコットで結果を出した。むしろここではディープインパクトの方が例外。
今年そのディープ産駒で唯一参戦となったダノンバラードは、時計の掛かる競馬でしか走らない特性を持っている。
この系統、例外の方が買いということか。
テイエムオペラオー以来ずっとヘイルトゥリーズン系が勝ち続けている。
まあ、シンボリクリスエス以外はサンデーサイレンスの直系なのだが。かつてはダイユウサクやリードホーユーなど、渋い血統の馬も勝ち切っていた。
オグリキャップが勝った頃から、スピードタイプが本格的に台頭。
90年代はチャンピオンホースが盛り返していたが、サンデーサイレンス産駒が21世紀に有馬記念の壁を突破して以降は、時計との勝負も重要になり、33秒台の上がりも時には必要だ。
ちょっと気になるのがミスプロ系。
オグリはネイティヴダンサーの孫だったが、基本的に2500の緩急の競馬はあまり得意ではないのだろう。キングマンボ系が2着2回、後は連続3着のトゥザグローリーがいるくらい。ダービー馬回避で肩身も狭い。
有馬対策データ
・秋天、JC連対馬が全部回避というのは…
2009年のドリームジャーニー-ブエナビスタで決まったレース以来。
基本的にはありえないし、近走の古馬GⅠの実績から類推できない難しさもある。
2009年は、宝塚記念でディープスカイを返り討ちにしたかつての2歳王者が、絶対女王戴冠にも失敗して鞍上もスイッチした二冠牝馬をねじ伏せた、という内容。
その弟が出てくるわけで、繋がりがないわけではないのだが…。
ここから見えてくるのは、例え負けていたとしても前走がGⅠという馬の方が有利だということだろう。
・秋海外GⅠ参戦組が強い
タップもディープも凱旋門賞を秋緒戦に使って、日本でガンガン使われるよりは大分フレッシュだったろうと思う。
夏に使ったゼンノロブロイなどもちろん例外もいるが、帰国後も激闘を繰り返し、戦意喪失のGPのパドックが印象的だった。
柔軟な対応力が、コーナー6つの競馬に応用されるという見方もできる。
・12月に使った馬が来るパターン
去年久々に来て、その前だと3歳時のトゥザグローリーとテイエムオペラオーが3着に来たくらい。極端な追い込みが決まって、1番人気が勝ったという共通点を持つ。
フレッシュな馬には有利ではある。
月初のGⅡが前哨戦というわけではないが、今年はこの組が多く出走してくるからマークは必要だ。
オルフェーヴル、エイシンフラッシュ。
ゴールドシップも穴にはならないけど、切らない方がいいか。昨年と買い方を変えればいいだけだ。
あとは、カレンミロティック、ウインバリアシオンなどの金鯱賞組。と、これでは穴狙いにならないか。
ヴェルデグリーンは穴なら注目。
GPハナ差の激闘
知る限りで5度、全57回中8回も息を呑むようなゴールシーンで中央競馬の掉尾を飾ってきた有馬記念。
日本一のレースと呼ばれた時代から、世界一馬券の売れるレースとなった現在までの間に、このレースは常に劇的シーンを我々に提供してきた。
ヴィクトワールピサ-ブエナビスタ ’10
人気、実績、絶対能力全ての面で、ブエナビスタは断然ではあったが、必ずしもそういう馬に有利に働くレースにはならない。
ルドルフ以外のチャンピオンホースは複数回挑戦すると必ず1度は敗れている。
一方で、世界基準における底力の指標が示される傾向もある。
ブエナビスタはドバイの経験こそあったが、ヴィクトワールはこの時点で凱旋門賞経験済み。
一叩きされ、今度はブエナビスタの前でゴール。小差だったが、凱旋門賞に出た者とそうでない者の差のようにも思えた。
後に、ヴィクトワールは世界一の称号を得る。
テイエムオペラオー-メイショウドトウ ’00
グラスワンダー-スペシャルウィーク ’99
主役の主役よる主役のための競馬となった20世紀末の有馬記念。
スローであるが故に、真の底力が解放される展開に。オルフェーブルの時と同じ。
メジロパーマー-レガシーワールド ’92
イナリワン-スーパークリーク ’89
主役が消えた有馬記念。消耗戦を経て、初めて出走叶う舞台。
昔から3歳有利なのは、菊にだけ照準を絞っていたからでもある。大昔の秋の天皇賞は、今のJCの開催日に組み込まれていた。
JCが誕生し、世界基準の競馬をした直後のGP。そこで激走したトウカイテイオー、オグリキャップは…。
有馬記念の劇的シーンは、必然だったのである。
新馬回顧 12/14・15
今週は8鞍。
土曜
中山ダ1200で断然人気楽勝のゴールドキセキは、1600をこなせるようになれば大きなところも狙える。成長が楽しみ。
芝1800は、唯一の関西馬で500kgオーバーのリコルディが、後述の阪神同様の超スローを好位から抜け出し快勝。
3着のウルトラバローズは見限れないが、それ以外は…。
阪神
注目の良血馬対決となった2000戦は、好枠を利してビバワールドがハナに立つも67秒台の1000M通過で、人気を分けたエイシンフラッシュの半弟オルドリンが我慢しきれず3角で前に取り付くも、そこでもう一度ビバワールドが引き離しにかかり、オルドリンはお釣りなく直線失速。
ピースオブワールドの産駒は期待を裏切ることが多かったが、ビバワールドに単調な印象はない。
外枠の人気馬同士で決まったダ1400は、サウスヴィグラス産駒のエイシンヴァラーが快勝。
中京1400では勝ったシセイカスガのキレ味が目立ったが、人気のキネオアレグロが全く自分の形を作れずの5着なので、次戦に期待したい。
日曜
中山マイルで大胆なミルコスタイルの捲りを決めた牝馬のホットランナーの父は、自身の皐月賞連覇を決めた時のパートナー・ダイワメジャー。完全な欧州型の牝系。40秒ちょうどの時計もよかったのかもしれない。
ダート戦は、タフな展開で差しが決まった。ファンシーミューズの父、母ともに1800は合っていた印象がある。
阪神はマイルの一戦。ベッラレイアの初仔が直線出るところがなく、代わりにキョウエイマーチの孫とゴーステディの姪が外から伸びてきた。
勝ったグレナディアーズは、結構走るかもしれない。穴馬か。