新馬回顧 1/11・12・13
土日は3鞍ずつ。
土曜中山ダートで人気に応えたミスウインストンはマンハッタンカフェ産駒。最後は力の差を見せつける格好になったが、牝馬ということもあるし、一度は芝を試してもらいたい。
一方、スローの2000戦はアロンダイトの姪でディープ牝駒というマリアライトが快勝。むしろこちらのほうがダートに向いていそうな印象もあるが、この日の馬体重は420kg。共に、じっくり育てたい素材だ。
京都の牝馬戦は、ユタカ&ディープに社台の勝負服という久々に見るコンビネーションにチョコレートバインがしっかり人気に応えデビュー勝ち。
日曜ダートの新馬は2場とも渋残りで、地方で活躍した馬の仔が激走した。
中山ではオリオンザサンクス産駒のアイアピール、京都の1200はノボジャック産駒のビバハイタッチがそれぞれデビューウインを決めたが、ともに時計が微妙なので評価保留。
京都の1800は、断然人気の高馬トーセンデュークが終始モタモタした競馬で3着。また、出走したディープ産駒3頭のうち、最も人気のなかったレッドルシファーに巧く運ばれ押し切られしまったのも皮肉だった。血統構成のよく似たこの2頭。
現状力差はあまりないだろうし、過剰人気だったということか。トーセンは中団より前で競馬したい。
月曜はダートのみ。荒れ気味の傾向とは裏腹の平穏な決着に。
日曜と距離が入れ替わって中山が1200戦(稍)。1番人気に推されたバクシンオーの騸馬ラピダメンテが後続を突き離し快勝。
京都は良に回復。2強の構図だったが、2番人気のスペシャルギフトが逃げ切り勝ちを収めた。シュプリームギフトの半弟。
血視点① ロードカナロア
非サンデーサイレンス系のロードカナロアは、どちらかといえばノーザンダンサークロスが主成分の欧州型血統馬の印象に近い。
その5×5×4に加え、カメハメハの牝系にもう一本あるから計4本入っている。
母父ストームキャットから快活なスピードも受け継ぎ、母レディブラッサム同様スプリンターとして活躍し、大成した。
この馬の血統的力点であるノーザンダンサーという存在は、和合性を持ち同時にインブリードにより能力を底上げする効果のせいで、ジレンマを抱えることになった。
非ヘイルトゥリーズン系の成功者となれる男の陰。
いずれ訪れる同系、濃厚配合の全盛期を前に、サンデーサイレンスの影響力への疑義や、これに互換性があるかは別として、この配合にはあと数十年は着目すべきだろう。
本質論ではない。もとい。
リボー系が2本入っているが、その効果が強く出ている場合、戦績に不安定さが出る。4着以下なしの好成績からその影響はあくまで限定的。
この馬のパワーの源は、直系のネイティヴダンサーから連なるパワフルな血筋と前述のストームキャットだという証明でもある。
また、その母父セクレタリアトとカナロアの5代母シリアンシーは全兄弟。セクレタリアトが弟にあたる。
分流からはニシノフラワーが輩出し、更にこの兄弟の半兄には名種牡馬であるサーゲイロードがおり、その系統からはハビタットを経て名短距離馬・ニホンピロウイナーが生み出された。
代を経ることにより、ポツポツとスピード型のスターホースを送り込んできた血筋。
この馬は、日本競馬界に大きな影響を与えるその最先端にいる種牡馬になるかもしれない。
2014年期待馬②
メイショウマンボ
トーセンラー
アジアエクスプレス
今年ちょっと不安なGⅠ馬。
負かした相手の方が実は強いんじゃないか疑惑もある中、それを払拭するための2014年シーズンとなる。
二冠牝馬メイショウマンボの場合、秋はもう完全に自分のためのレースであるかのようなワンサイドの競馬が続いた。
重賞を一勝するまでは一介の候補生にすぎず、大分もたもたしていたし、桜花賞は外差し馬場の外枠を引いておきながら見せ場なく敗退。
その後GⅠを勝ち続けたわけだから、勝負の世界で大切な流れが休んでいるうちに変わってしまうことも考えられる。
スピードを長い距離で証明しただけでは、能力の完全証明とはならない。
オークス以外の好時計決着での好走が、真の王者には必要だ。
秋のマイル王トーセンラーの弱点は?
使える脚が短いというよりは、直線バラけて外からいい脚をという京都巧者独特の性質が玉に傷。
武豊といかにも手が合いそうな馬だが、その他の騎手が乗ると仕掛けのタイミングが難しくなる。
より早く前にとりつく競馬を体得しないと、いつまでたっても穴馬のままだ。
アジアエクスプレスには、芝をこなした功罪が反動の恐怖と相まって、今年一気に襲いかかる。
早熟性を示したというダート2戦の圧勝劇ではなかったわけだから、芝へ急遽ではないにせよ参戦し、明らかに馬場が向いて快勝した朝日杯の内容は、3歳シーズンはとりあえずダメ、というレース史のジレンマを副賞に貰った印象。
どの馬も実力が最上位だったからGⅠを快勝出来た。
各路線の中心馬になった今年、オルフェーヴルやロードカナロアも負けていたことが救いになるのか。
新馬回顧 1/5・6
今年最初の新馬は中山ダートの1200戦。
人気のサムライハート産駒オンタケハートが、4角抜群の手応えから直線抜け出す見事な競馬で快勝した。かなり重厚な配合も、前向きな印象でこの辺りの距離が合うか。
昨年大レコードの出た内回りの1600戦とはいえ、京都で一騎打ちを演じた良血2頭の立ち回りは見事なものであった。
勝ったジェダイトの仔・アドマイヤメテオは、母が苦しんだ時計勝負を初戦からあっさりクリアして、混戦ムードのクラシック戦線に堂々名乗りをあげた。
キングカメハメハの産駒とそれを祖父に持つ馬のワンツー。
2着ヤマノフェアリーは、デニムアンドルビーの全妹だが、正直姉より熟成期間を要する可能性がある。この日はまだ、叩き台という気配だった。
牡牝の違いもあるし、大舞台での再戦を期待したい。
月曜の3レースは全て逃げ切りの決着。
中山マイルを逃げ切ったパワースラッガーは、父が在来牝系フラストレートの出身のウインラディウスで、近親に貴公子・テンポイントがいる純和製血統。
この辺り、まだオルフェーヴルの影響力が残っている感じがある。
京都ダートは、父は言わずもがなというゴットロブロイが人気馬の追撃を凌ぎ切った。ステイゴールドの近親。たまにダートの大物を出す一族。
芝の2000は池添騎手騎乗のグッドスピリッツが、スローだったとはいえ楽勝という内容の逃げ切り。
4代母はコスマーで、ヘイローのひ孫だからその4×4を持つ。
また同じ一族のノーザンダンサーの血も3本入っていて、血統的な裏付けのしっかりした良血騸馬だ。
人気勢は、時間をかければ力を発揮する晩成型だろう。
2014年期待馬①
エピファネイア
古馬との対戦を回避したことで、結果好き放題させてしまったが、今年は自分が主役になればいい。
焦点は距離適性ではなく、ライバルとの力関係。
もし、春の天皇賞前年覇者であるフェノーメノが一叩きして出走したとしても、馬の本質からいって優位性に変化はないだろう。
しかし、ステイゴールド産駒ではないことは百も承知も、菊花賞馬の春天でのあまりに悲惨な結末だけは…。何とか食い止めたい。
ホッコータルマエ
日本一強いダート馬というより、日本一巧みにダートを走る馬。
迫力不足をいかにして補っていくか。早々に陣営から飛び出したドバイ遠征の成否を左右する「スピード」という最大の壁を、国内戦の中で
いかに突破していけるか。
先行力でニホンピロアワーズを翻弄する能力も、底力でワンダーアキュートを楽に制することもできる今、それさえクリアできれば…。
ジャスタウェイ
コーナー2つの競馬でしかいい競馬を見せていない馬の引き出しが、増えているか否か。
1800以下だとちょっと置かれやすく、AWのワールドCだとうまくスパートできるかが課題となる。
ましてや、その前哨戦に中山記念という小難しいレースを選択してきそうで、怪しさ満点。
近年は毎年のようにGⅠ好走馬を出す出世レースで、ヴィクトワールピサも快勝したのだが、有馬記念好走が嘘のような自滅で遠征を断念したトゥザグローリーのイメージの方が…。騎手まで同じ…。
彼らの共通点は、ライバルは少ないが、敵の武器がフルで発揮された時は案外脆いということ。
裏を返せば、己を超えた時に新たな世界が広がるとも言える。真価が問われる一年だ。