安田記念展望
候補多数。今年の重賞馬から。
・エキストラエンド 京都金杯
・ジャスタウェイ ドバイDF 中山記念
・カレンブラックヒル ダービー卿CT
・ワールドエース マイラーズC
3歳馬ミッキーアイルもマイル重賞3連勝中。でも、今年はこれだけに止まらない。
その他重賞連対組にも、
トーセンラー
フィエロ
ホエールキャプチャ
らがいて、ロゴタイプ、ショウナンマイティ辺りも参戦確実。高次元な争いが期待される。
また、グランデッツァと京王杯SCの1、2着馬は、頭じゃななければくさい存在だ。でも、ジャスタウェイの名前であるせいで…。グランデッツァは、ワールドエースよりもポテンシャルは上のような気もするのだが…。
何か、馬の名前を羅列するだけでも無駄に興奮する。
このJC的バラバラローテからの一期一会の豪華決戦を読み解くには、幾らかレース史の手助けを必要となる。
傾向の一つとして、マイル重賞の勝ち馬が異常なほど苦戦しているということ。
特に、安田記念に至るまでの当該年5か月間でマイル重賞を制し、また安田記念も勝った馬は、
ノースフライト
ショウワモダン
と、マイルのGⅠ馬のみ。マイル重賞を勝っただけでは足らないのだろう。
でも、こういうのは例外が多いから、使える条件が限られる。
これはどうか。
京王杯SCの勝ち時計が1:20.1~.5の間で決着した年だけ、安田記念の馬券に絡む馬が登場する。
今年のように、この範囲より速い年が最近2回あって、両方とも掲示板に載る馬さえなし。高速決着の弊害もあるのだろう。
ただ、今年最も傾注せねばならない専門家以外の取捨は難しく、結局は昨年と同じようなことで悩むのである。
ヴィクトリアマイル -回顧-
ある種の壁が突き破られた翌週も、また逃げ切り。
思えば、ヴィルシーナは昨年も積極策で活路を見出していた。今年も外から芦毛が迫り、内から二冠牝馬とスプリントGⅠを落とした同期が追いすがる厳しい叩き合い。
序列は結局、昨春と大差なし。
高齢馬には苦しいハイスピードマッチ。ホエールキャプチャに昨年以上の競馬を求めるのは酷だろう。
皆よく頑張った。オッズが示した上昇力は、東京マイルで求められる底力によって相殺され、真の底力が露わに。
その結果が、半馬身、アタマ、クビ、ハナの差という形で掲示された。
つまり、ここがベストの条件という馬は、このレースにはウオッカと昨年の1,2着馬しか出てきていないということなのだろう。
結局ディープ。父同様根幹距離向きのチャンピオンサイヤーであることを、改めて証明した。
本質中距離向きのイメージは強いが、凱旋門賞で思わず先行してしまったような性質も、ディープの子ども達には伝わっているのである。血は争えないことの見本だ。
この日オーナーは、ゴルフ場にいたそうだ。愛馬1年ぶりの快走は、回り道をしてボロボロになりながらも同期にプライド見せたオーナーのラストショットを想起させた。
ここに清原はいなかったが、その分色々なライバルと戦えた。幸せな話だ。
クロフネサプライズの逃げを封じたことで、再びその腕にスポットライトが当てられることとなった内田騎手。
長らく勝利騎手インタビューがなかったから、本当に久々の
「ありがとうございます」
を拝聴できた。
人間のドラマは、競馬にもなぞられるように奇異な足跡を辿るもの。
ドバイでリベンジを果たしたジェンティルドンナのライバルだったと思い出せば、タフな競馬で目覚めて不思議じゃなかった。
本物は必ず息を吹き返す。
上位2頭は、ずっと繋がらなかった古牝馬の2GⅠをともに連対した史上初と二番目の馬。
4、5歳世代は、5歳がスピード戦にも対応できるタイプが多く、4歳は総合力で勝負したい馬が多い。
絶対女王が出走してきたわけではないが、エリザベス女王杯の結果もある意味では反映している納得の結果。
結局は…、知っていることの中で読み解ける競馬だったわけだ。
惜しむらくは、ヴィルシーナの競馬をデニムに…。まだ若いか。
ヴィクトリアマイル -予想-
クロフネサプライズは実にわかりやすい。
阪神JF②
46.0-48.2<4角2番手>
桜花賞④
46.9-47.5<4角先頭>
オークス⑫
47.7-(49.0)ー50.4<直線まで先頭>
チューリップ賞①は極端な後傾ラップだったが、トライアル独特の差し馬人気の恩恵もあったから、この馬の実態を示した好例とはならない。
休み明けの前走・阪神牝馬Sは、
45.5-35.0
というラップを刻んで逃げ粘り、勝ち馬から0.2差の8着と健闘している。
柴山騎手とも手が合いそうで、彼女のベストに近い形を示せるだろう。この前に出れば超ハイペース。
この馬がハクサンムーンのようなことになると、今度は先行馬ペースになる。
展開が大半読み通りであれば、差し馬は必ず馬券に絡む。
本質はマイル向きだろう、遠征帰りのデニムアンドルビーを軸馬にする。
フローラSやジャパンCでの鮮烈な末脚がこの馬のイメージと直結するが、それは血統の影響するところでもある。
父がスタートだけは一流になれなかったディープインパクト。
母父キングカメハメハとの歴史的ダービーレコードを計時したカップリングでは、強烈なスピード決着を好む性質を秘めるのだが、たまに出遅れたりするから流れに乗れない。マイルくらいの距離だと致命的。
だが、ローズSの自身最悪の競馬から見て取れたのは、破壊力の裏付けとなる基本的なスピード能力の高さ。
加えて、休み明けの前走・ドバイSCの以外、負けても0.5差以内の競馬を繰り返し、掲示板も外さない堅実さは、体調一歩の可能性を否定できない状況下でも、ある程度のところまで走ってくれる期待感がある。
そして、ジャパンC2着の価値がここで活きてくるのだ。この中に00できる馬は他にはいない説。
「総合力の問われる舞台でこそ」
彼女は変則的な策を要する性質でも、そういった血統構成でもまたない。
ヌレイエフの4×2という、奇天烈な配合を施された母を持つが、それよりもディープを配されることで発生したノーザンダンサーの5×6×6×4とそれに倍する数存在するネイティヴダンサーの物量作戦が、キレ味勝負だけではない安定した戦績にも繋がっているのだろう。
この馬が最もこのコースと好相性と考える。少なくとも、高速決着には対応できる。
ダイワメジャー産駒ながら、キレ・スピードとも牝馬らしく小柄なエクセラントカーヴは、ベガ一族の出身。前走は、休み明け・中山内回り・自己最重斤量の3点セットで、一叩き後のここで突き抜けても不思議ない素質の持ち主。
中距離型が多いから、適性と決め手で人気を裏切ってもらいたい。対抗にするには勿体ないくらいだ。
総合力と言った以上、メイショウマンボは切れない。スマートレイアーの人気如何では、確実に上位争いしてきそう。
古馬になって初めてマイルを使うストレイトガールの充実度も侮れず、この三者を中心に広く薄くでいく。
月下美人の追憶
新・東京で炸裂した父似の豪脚。
「直線が長くなったから」
社台系の良血馬が人気を集めたフローラSは、トーセンリリーが平均ペースをリードするも、最後は追い込み決着。
馬群をついて伸びたサクラローレル産駒のシンコールビーが、タイムウィルテルの追撃を凌いだ。
1200で連続好走後、1400で初勝利。距離を延ばして末を活かそうしたがうまくいかず。
何で走ったのか?オークスでも3着したが、その後は低迷。
もしや理由は。東京のこの2戦だけ434kgだった。
第2回も名牝復活の舞台となったヴィクトリアマイル。
コイウタ激走の伏線は中山に。
鞍上の松岡正海がハナ負けして、ヘルメットを放り投げる2週間前。これも波乱のダービー卿CTでコイウタの長所を掴む2着快走。
本番は中距離実績馬が人気に。東京のマイルなら…。
「もう、余計なことはしません」
2年後の天皇賞でデジャヴを経験する我々は、同時に騎手の進化を見届けた。
父の本当の姿とは。
エリンコートは、母エリンバードということで、初め短い距離から使い出されたが、1月時点で6戦1勝。
それが距離を1800以上に伸ばしてからは、3連勝で一気にオークスまで勝ち切ってしまった。
昔からよく単穴の出るレース。ただ、過去10年で最も単勝支持率の低い勝ち馬でありながら、雨に渋った馬場を逞しい末脚でマイルベストの人気馬を封じ込めた内容は秀逸だった。
「めでたしめでたし」
この時の鞍上は、父のターニングポイントとなった中山記念を制した後藤浩輝。
上手に走れれば。中長距離戦に器用さは必携だ。
春の東京・シンデレラストーリーは、もう次代に引き継がれている。
血統なるもの
盾獲り物語の最終盤は、デインヒルやストームバードなど、本質2000までがギリギリの種牡馬が母父に入っている同士で消耗戦を競った。
でも、この2頭は2000M以下の重賞を勝っていない。父も同様。
脚質がまるで、母父のダンシングブレーヴそのもののホッコーブレーヴは、勝負が決まってから突っ込んでくるタイプ。
この結果は、多頭数の競馬に向かないこの距離独特の性質を示し、それはまた、日本競馬のジレンマそのものでもある。
これが、キズナの怪我の遠因ともなった。血統のイメージが結果とリンクしないレースは、最も敬遠すべき勝負だったようにも思える。
いつもと違うことを要求したから負けてしまい、怪我もした。残念だ。
ディープはマイルで強い。
桜花賞の4連覇に加え、昨年はマイルCSとVマイルも勝っている。
中山は苦手とされるが、桜花賞の舞台に朝日杯が移設し、最後のピースも間もなく埋まるだろう。
ミッキーアイルが、ロックオブジブラルタルの影響を受けているのは間違いない。
母やその父と似たところを体現していたサトノルパンも人気を集め、ディープインパクトが、父の最良の後継者として君臨する理由が全て含まれているマイルCの結果であった。
この2週間で、ディープインパクト産駒の真実を問う、
「血統なるもの」
が見えてきた。
キズナは、同父のミッキーアイルと本質的な部分も同じという可能性があるのではないか。
その真相は、実は異父姉に根拠を求めることもできたはずだ。
もし血に抗えたなら、天皇賞はもちろん、ダービーもエピファネイアの末脚を好位抜け出しで封じ込めていたのだろう。
でも、結果は違うのだ。