セレクトセール
高額落札馬に二言三言。
当歳
アゼリ14(牡)
落札額 2億5千万円<近藤利一氏>
現1歳の全兄はほぼ同額で取引。米GⅠを11勝した母の血統は、父のジェイドハンターを除けば、芝向きの種牡馬ばかり。その影響は大きい。
アドマイヤキラメキ14(牡)
落札額 2億2千万円<島川隆哉氏>
トーセンスターダムが2.6億、デビュー前のネオスターダムが1億で落札。生産者側も安全祈願したい。クラフティワイフ系の成長力がミソ。
2頭ともディープ産駒。続く1.8億円で落札されたミュージカルウェイ14(牡)も同じ。カタール・アルターニ殿下の代理人が競り落としたが、前日の1歳馬セールで、当開催最高額の馬を落札した経緯もあり、人馬とも要注目。
バンドワゴンの半弟でハーツクライ産駒のピラミマ14(牡)<1.5億円・落札者(株)MMB>は、非ディープと父替わりに期待。
1歳
2.6億円のリッスン13(牡)は、前述のアルターニ殿下。2億円で落札のマジックストーム13(牡)は里見治氏が、期待のディープ産駒を掌中に。
リッスンは愛国産で、イギリスの2歳GⅠを勝った馬。両者好馬体だが、高速馬場では怪しい。
金子真人ホールディングスが落札したラヴズオンリーミー13(牡)は、3代母ミエスクの良血馬。1.8億円のお高い買い物は吉と出るか…。実力伯仲の世代か。
億取引でGⅠを勝った馬は、全市場落札馬でほんの数頭のみだ。
サンデー系が蔓延る国で、その血を持つことが落札額高騰の要因となっているから、フランケルの持ち込み馬・グッドウッドマーチ14(牝)に1億円弱の値がついたことで、変に肩入れしてしまいそうだ。
春風で涼む
GⅠで1番人気を裏切る馬が現れると、案外皆が傷つくものである。
今春も例年並み程度にその裏切りが起こってしまった。悲しくもあり、勝負の厳しさが如実に表れるのも、1番人気の馬が負けると分かった瞬間を目撃した時だ。それを思い出せば、意外と体の火照りも治まってくる。
計11回行われたGⅠレースでは、7度1番人気が敗退。
ベルシャザール
ストレイトガール
トゥザワールド
キズナ
スマートレイアー
ハープスター
イスラボニータ
うち4着以下に敗れたのが、ディープ×ユタカという唯一無二の絆を受け継いだ良血2頭であった。
前走の阪神で豪快に立ち回って人気に応えたキズナとスマートレイアーが、上がりの速い京都や東京で差し損ね。
前者は初距離に加え、レース中だったかはともかく、激闘の末に脚を傷める結果に。後者は東京での高速の上がりを評価されていたが、新潟と中京では不発だった。
夢見る投票者の思いとは裏腹に、過剰に人気を集めたがため、強固な絆は破綻した。勝ち馬とはわずかな差も、近年の春のタイトル争いで、特に波乱含みの競馬が多かった2レースでのこと。これも必然だったか。
安田記念の翌週から、2週続けて断然人気馬が吹っ飛んだのも記憶に新しい。
マジェスティハーツの場合、前々週のハーツクライ×ノリによるダービー戴冠というビッグシーンが大きく影響した。今週もノッていけ。ただ、4週続けてとはいかないのも乙なところ。おまけにディープの仔に敗れるとは、神様も悪戯好きだ。
その翌週に断然人気に推された2頭の不利と自滅に見たものは、夏の風に呑まれた姿。
6月の雨は、ローカルモード突入のサインでもある。