新馬回顧 6
土曜日は短距離戦が4つ組まれ、福島で2鞍行われた。
大接戦のゴールとなったダート1150M戦は、最後の最後に内の2頭を競り落としたブラックレッグの勝利。大昔の二冠牝馬ミスオンワードを出した一族。タイキシャトル産駒だが、単調なタイプではないだろう。
芝1200のニシノラッシュの勝ち方は、実にセンスのいい内容。マイルくらいまではこなせそうで、バクシンオーの底力を感じさせる。
中京1400も函館1200も混戦模様だったが、勝ち馬は強かった。
中京で人気に応えたのは、チチカステナンゴ産駒のブリクスト。ただ、フジキセキが肌の母母父ジェイドロバリーで重厚なタイプではない。春の東京のマイルGⅠでも来たくらいだから、この馬も少し追いかけて、データ収集といきたい。
北は、テンも終いも一番の時計でアクティブミノルが好時計で圧勝。スタチューオブリバティの代表産駒になれる逸材か。差しタイプに育つだろう。
日曜日は、直前に雨が降ったりと不気味な気配がそのまま結果に直結。東西とも波乱の決着となった。
人気馬総崩れの中京1600は、勝ったコスモピーコックの力強さが目立ったレース。重厚なヨーロッパ配合が、想像より重たくなった稍重馬場にフィットしたか。牝馬ながら、中距離以上の牡馬混合戦で穴狙いをしたい。よりタフな競馬が合うはずだ。
荒れ放題の福島1800戦も人気薄の逃げ切り。馬場悪化こそなかったが、中京同様行った者勝ちの競馬に持ち込んでゴッドバローズが快勝した。ステイゴールドとディープの人気馬のワンツー。ともに420kg台の小柄な馬だが、多分に成長力を秘めており、大化けもある。
七夕賞 -回顧-
台風の影響が皆無だったにも関わらず、レース当日に雨が降る。3日前の予報では猛暑日になるとも言われていたのに、単なる高速馬場ではなく、ある程度のタフさやそれでも時計が速くなる馬場状態だったから、またある程度いい位置につける能力が問われた。
福島の競馬がよく荒れるのは、最も気候が不安定な時期に、オフシーズンに突入して早々に難解なコースで、また各馬の調子が掴みきれない時、今回のようなハンデ戦が数多く行われるからだ。
午前中から荒れ放題で、単勝50倍なんて普通の馬券だよと福島のコアなファンに言われてしまいそうな不穏な空気が流れる中、実力馬の中でも不確定要素しか持たないメイショウナルトが、田辺騎手という恋人を背にして、己の意のままに逃走し、ツインターボとは違う力勝負での実力勝ちで、重ハンデ馬の追撃を封じた。
愛の力は、本当に偉大である。元々の主戦が幸騎手で、その後武豊というベストパートナーの候補を紹介されるも、最後にはよくわからない言われ、心の通じ合う関係までは発展せず。
日本には女性騎手で、本当の腕利きというのは地方にしかいないから、そういうことを汲み取ってくれる騎手が少ないので、走ったり走らなかったりを繰り返しているのだろう。夏馬というくらいで、古馬重賞を快勝することは滅多にないもの。
牝馬とは縁のある騎手にこの馬を任せてきた武田調教師の采配は、イケメン・田辺に一任という形で、復活の一歩を楽勝で飾る結果となった。
狙いは単純だったのだろう。
「あと一つ、何か気に入る理由がないと走らない」
去勢はきっかけの一つにすぎず。メイショウナルトの迷走は今後ともファンの頭を悩ませることになるだろうが、筆者は何かを見出せた気がする。
きっと、夏は得意だけど、暑すぎるとダメ。小倉記念も雨が降っていた。そして、彼というか彼女というか不思議な性質を持ったこの馬は、また違うきっかけを求め続けるのだろうと思う。
ニューダイナスティは、昨年この時期の中京でメイショウナルトを負かしていた馬。マイネルラクリマは、手応えの割に伸びてくる馬だから、ほとんど昨年の小倉記念で3着だった時と似たような展開。
その他はもう、全く勝ち馬に歯が立たない位置だったから、これは仕方ない。
ハンデ戦というのは、大抵勝ち馬のレースになってしまうものだ。