新馬回顧 4
土曜
雨の降り方も影響した。
快晴の函館では、人気のアンブリカルが逃げ切り快勝。今週も現れた2歳S候補だが、まだ危なっかしさもありそうで、早熟にはみえない。
幾らか渋った馬場の阪神1200は、混戦ムードそのままに意外な大勝馬が出現。マツリダゴッホ産駒のクールホタルビは、小柄な牝馬であるからこその素軽さを見せ、先行策が合いそうな配合の印象通りだ。揉まれるとよくないはず。
直前の雨で、道悪の巧拙が問われた稍重の東京マイルは、ネオ×ブラックエンブレムというクラシック配合のブライトエンブレムが直線いっぱいを使って伸び、豪快に差し切った。血統イメージ通りというのは阪神の勝ち馬と同じ。弟の方が守備範囲が狭い分、わかりやすいタイプに育ちそう。
日曜
東西で前日よりワンランク馬場は悪化した。
そして、双方で1番人気が順当に勝ち上がった。
西はティルナノーグが勝ったが、意外だった。
ダービーで悲運の内ラチ激突事件を起こしてしまったトーセンスターダムと似たタイプか。
父が同じで、母父ミスプロ系。早めに前に取り付き、直線遊んでいる時外から交わされそうになるとまた伸びた。ただ、ここで負けるような相手かと言われれば…。様子見といきたい。重が苦手ということとは違う気がする。
東の1400戦(重)は、ダイワメジャー産駒のスペチアーレが快勝。重厚な欧州血統だからこその適性もあっただろうが、サンデー系の成功例に倣った形。大成できるか。
ここまで外れなしの函館新馬。1200で良で、10秒台の勝ち時計。スニッツェル産駒のキッズライトオンの番手抜け出しに文句の付けどころはない。ある意味困る。
宝塚記念 -回顧-
馬に任せるという意味は、
「第一に、勝ち負け以前の問題がある」
という、スターホースにはあるまじき危険な性質をはらむ可能性を指している。
だから、馬に任せたのではなく、常にリアクションをしてくるのは君の方でいいから、それでもたまにこうやって欲しいというサインを出すけどいいのかな、と会話するために、わざわざ栗東に三度足を運んで、かつお互い納得のいく約束事を契ったのである。
自分の形を持っているから、それを大切にしたい。例え出遅れても…。
だから、いつものように二の脚はつかずも、結局は、昨年と同じ位置取りになった。展開は大分違うから、それは差し馬にも有利に働く可能性も、もちろん流れに乗った穴馬グループの台頭の場面も想定されたが、
「ゴールドシップが普通に走ったこと」
により、差し馬が台頭できるレースを壊す展開にはならなかった。
それもこれも、恐らく約束事の中に入っていただろう、
「君が乗り気じゃないのなら、僕はその気持ちを大事にしようと思う」
という、鞭自己規制宣言に特効性があった、何よりの証だ。
凱旋門賞に行くなら、ここを勝たないといけなかった。
一応、遠征資金確保という側面が、この一年の競馬にあったなら、約1億5千万円ほどオーナーの懐に収まった計算になる。行くとは思うが、馬への自由度を最優先にし、引き際もきっちり後腐れのないよう願いたい。
それでも、オルフェの産経大阪杯みたいな、モタれながら…、というエンジンが掛ってからの微妙なブレの部分が共通していたから、それはサンデー系の特性である以上、十分に気をつけてもらいたい。また…、はある可能性も感じた。
3着ヴィルシーナと5着デニムアンドルビー。
ここでは力及ばずの残る2頭のクラシックウイナーの方が強いはずなのだが、展開利以前に、そういう適性の馬なのだろう。
11着のメイショウは、前々走と同じだったと、主戦が語ったという。
3番人気のジェンティルは、川田騎手が戻ってきたときは何も語らず…。
もし、彼女たちに共通する敗因があるとすれば、ゴールドシップにはない、
「生真面目さ」
のせいかもしれない。余力は残っていなかった。
ウインバリアシオンにはそのいずれも足らず、また、強烈な武器も脚質の印象よりは大したものを持っていないということだろう。勝ち運も。