血視点⑨ ハーツクライ三銃士
そろそろイジり頃だろう。二アークティックやハイぺリオンの血がクロスしている以外は、全てバラバラ。
故にそそらられる、ハーツクライ。
・ヌーヴォレコルト
ノーザンダンサーの血を4本持ち、母はその同系配合。組み合わせこそ違うが、あの三冠牝馬と同じくリファールとダンチヒの血が共通項。
リファールのクロスのあるなしが、オークスでヴィルシーナに大きな差をつけられた理由だと思っていたのだが、それと似た効果をヌレイエフの血が補完したのだろう。マイル向きのイメージも、名牝と大差ないと配合だとすれば、この結果にも納得がいく。
・ワンアンドオンリー
一見すると、ヘイロー3×4がポイントのようで、実は、牝系に居並ぶ大種牡馬の影響をバランスよく受け継いだことが底力の根源。
ノーザンダンサーの薄めの継続クロスがバランスを整え、その点でも、エルコンドルパサーとも共通する配合の妙が見て取れる。日本でヘイローの強いクロスが有効なことは、ロジユニヴァースが既に実証済み。
フジキセキ産駒が主役のダービーなら、であろう。
・ジャスタウェイ
血統的見地で捉えた場合、「ハイぺリオン」の一語に尽きる。
父父SSに1本、父母父TBには3本。母父ワイルドアゲインはその4×3を持ち、またその父ゲインズバラのクロスを内包している。
また、祖母シャロンにも2本入っていて、シャロンの母父はサンインロー系とハンプトン系だらけ。
ハイぺリオンの継続・多重クロスそのものは珍しくないが、サンデー系でここまで多い馬は珍しい。
これが、不可能を可能にした理由なのか。
血統面からも、その結果は必然と断言できる。
上半期GⅠ後半回顧
種牡馬の性質を見事に顕在化させた、東京の5連続GⅠ。
負けた印象の方が強く残るディープ産駒。
何と言っても、劇的少女・ハープスター不発の衝撃が強烈。前週まで続いた、世紀の東京マイル2週連続逃げ切り勝ちの気運はどこへやら。
これはハーツクライへの苦手意識ではなく、「100点以上」への問題提起だったのか。
ハープスターとってのオークスは、父が凱旋門賞でプライドをズタズタにされた時と全く同じなのではないのか。
そう信じると、得意のマイルで結果を出した逃走者とは、やっぱ違う何かを見出せる可能性もあり得る。
ヴィクトワールピサに倣い、超えていきたい。
途中から流れをものにしたのは、そのディープを初対戦時に下したハーツクライの傑作たち。
ウインバリアシオンに、父らしさをみた3年前の尋常ならざる環境でのクラシック惜敗ショー。
そのバリアシオンが奇跡的な復活を遂げたことが、この呼び水にでもなったのか。それもジャスタウェイ革命による、連鎖反応の一環だろう。
痛快。100点なんて優に超えていた、頼もしい子供たちだ。
一時期は、ステイゴールドというジョーカーが120点というGⅠ勝利条件の水準を保持していたが、陰ながら、多方面で春の主役を送り込んだのがフジキセキの仔。
ただ、ダービーはともかく、得意とされるマイルのGⅠの産駒最先着馬は、
4-3-7
と意外な結果に。実績十分の馬ばかりが、皆80点くらいの内容。
ダービーを勝てなかった遠因も、この中に潜んでいる気がする。ズレが意外性を生む。
名馬の80点と穴馬の120点が交錯するグランプリステージ。
ただ、乗りかえの時期なのかも。