エプソムC ―予想―
今週は、悪いニュースが続いてシュンとしてしまった上に、雨の影響も大分残りそうな状況もあって少しブルーだ。
盛り上がる要素があるとすれば、
「厩舎なじみの血統馬の餞別に、似たような境遇に苦しむ先輩が…」
それがいかに難しいことかは、馬自身が一番理解している。期待しすぎないことにする。
盛り上がっていこうぜ、ニッポン‼の流れを牽引してくれそうな5歳世代の勢いに肖って、ここはフェスティヴタローから。
フェスティヴタローにとって、ここまで唯一の重賞出走歴であるニュージーランドT(11着)を制したのは、そのままGⅠまで勝ち切ったカレンブラックヒル。
毎日王冠まで順調に勝ち星を重ねたが、天皇賞5着を境に、まるで別馬のように変わってしまい、その実績もほこりを被ってしまっていた。今春、その不振を極めたブラックヒルが、初めて重賞を制した中山で復活勝利を挙げた。
春の中山では、ジャスタウェイを筆頭に、フーラブライドや一つ年下のスマートオリオンといった遅れてきた大物が重賞を制し、またブラックヒルのように、巡り合わせやまた怪我の不運も乗り越えたウインバリアシオンが勝って、何かとファンの心を掴むような結果が続いていた。
それを思えば、前走休み明けで凡走しただけの安定株・フェスティヴタローの競走生活など、平穏そのものだ。
派手さこそないが、それでも前々走・初富士Sの内容は素晴らしい。骨っぽい相手にテンからじわっとピッチを上げ、11秒台のラップを刻み続け、最後は坂で脚が鈍ったが、1800らしい後続に脚を使わせる競馬で押し切った。
父よりはテンが速くないから、前回は休み明けの格上がり初戦を自重気味に走って7着。いかにも、カッチーだ。
そんな田中勝春騎手は、かつてアブソリュートに乗り続け、5歳になって東京新聞杯を勝ったことがある。
似ている部分もあったりなかったり。晩年の父ローエングリンには跨っているが、それよりはバランスオブゲームの好敵手という印象が強く、その才能を肌で感じてきた一人。
1800戦に絞って使われ出してから、逃げに転じ、戦績も伴ってきたことを考えれば、ハイピッチで飛ばす馬もいないし、初富士Sの再現も可能だろう。
如何せん、渋すぎる在来牝系出身の上がり馬にとって、これ以上ない馬場コンディションではないかと思う。
中山でジャスタウェイの後塵を拝したグループは、今週も軽視禁物。
秋に色々とあったダークシャドウは、今更、高速馬場がいいなどと非力さを露呈することはないだろう。59でもあるし論拠には乏しいが、昔からリピーターが多いレースなので、そこにかけたい。
マジェスティハーツなど買いたい馬は多数。微々たるプラス収支を期待して、薄めに手広くで。
マーメイドS -予想-
ハンデ重賞のセオリーでは、トップハンデを疑え、なのだろうが、今のフーラブライドを軽視するのはあまりにも露骨なので、56でも軸に据える。
ヴィクトリアマイルでは、自身最高の上がり3F33.8の脚を使っている。でも、ずっとダートを走ってきた馬だから、明らかに阪神の方が走りやすいはず。
アイムヒアーが出てきたから、まず単騎で行くのだろうが、フーラブライドが中山の時のような混戦ムードを力でねじ伏せる展開に持ち込んだら、先行勢は誰も残れないだろう。差し馬有利。
ディアデラマドレは、前走休み明けながら秋の連勝のイメージが鮮烈だったために1番人気に推されるも、差し負けて2着。
ただ、阪神の2000はコース特性上、追い込みが届きやすい。14頭立て。思い切りのいい藤岡康太騎手には合っている。
こちらも強烈に差してくるシャトーブランシュには、兄佑介騎手が乗る。ここでは重い方の53を背負う兄弟騎手を、展開利から本線に。
前走1000万勝ちの関東の5歳馬2頭も加え、あまり欲張らない方向で。
波乱の芽はある。ミスター軽量の酒井学が、トップハンデの1番人気に跨ることだ。不穏な空気を醸し出す要因なのだろうが、今の彼はGⅠでも主役を張れる馬に乗るトップジョッキーである。