目黒記念 -予想-
準オープン勝ちの2頭は54に止まったが、57以上を背負うラブリーデイ、ムスカテールにとって、ここを正攻法で戦うのは少し辛い。前者は古馬戦初の57でのレースで、不適条件ながら3歳時同斤で4戦全敗。
後者は、丸一年勝てていないのに、川崎での快走も手伝って昨年比1.5増の57.5。かつて連覇したポップロックにあやかりたいところだが、彼は3か国でGⅠを2着した後、1番人気に応えた馬。格が違う。
そのポップロック2度目の優勝時に鞍上にいたユタカ騎手が乗る、ステラウインドから狙いたい。
前走は、休み明けと12kg減にトップハンデもプラスして4着。体重は冬の太目残りを絞った分なので問題なかったが、あと2つは厳しかった。
当然、ここでは斤量が減って54。何せ、キズナの帯同馬だ。帰国後無理をさせては、経験値も何もない。
昨春、東京で2連勝して渡仏した経緯も買い材料。一年遅れの出番と考えたい。
メインも同じ勝負服ならば確変も。
さて、1年前ステラの鞍上にいたのは、奇しくも同期の蛯名騎手。
果たして、このレースの時にはダービージョッキーになっているだろうか。
ダービーデイの最終競走になって以降、このレースを制した3騎手が、後にダービーを制している。一昨年ここを勝ったのだが…。
ダービージョッキーだから
ダービー4勝。1年前に武豊を信じなかったのは失態も同然。
ディープは当たり前として、世紀を跨いでダービーを勝ちまくった時代を知っているなら、尚更だ。
あの末脚。勝ち方を知らないと引き出せない。
ダービーで6度1番人気に推され、4勝2着2回とパーフェクト連対である不世出の名手は、日本競馬界唯一のダービーマスターと言える。
特に、GⅠ勝利7回のうち3度騎乗してしたウオッカの父であるタニノギムレットが、ダービー馬になるまでの道程は伝説的だ。
2月の末に骨折して、春のクラシック参戦は絶望視されていたが、3回京都の初日から復帰。
マイルCで再びギムレットとタッグを組むが、3着と不発。
テン乗りながら青葉賞でシンボリクリスエスに跨り、己の脅威となることを認識した上で、GⅠ連敗中にもかかわらず1番人気に応え、全てを制した。
あの表彰式の時に落ちてきた大粒の雨は、直前の海外ピンポイント参戦で体調万全を確認した、その積極的姿勢がもたらした予定調和の演出だったような気がしてならない。
もし18年ぶりのダービー制覇となっていたら…。
その前、アドマイヤベガの時も心憎い。3強対決は、3戦中唯一のワンツースリー決着。
若手騎手の高揚感を嘲笑う後方待機策で、ゴール前鋭く伸びたタイレコードウインは、前年、人間・武豊をスペシャルウィークの力により引き出された恩恵によるところが大きい。
鞭を落とすなんて…。ダービーは、ユタカ・タケの歴史でもある。
今現役のダービージョッキーは、96年以降に勝った8人だけ。
縁を最も大切にした者が、ダービーを制する。今年もこの季節がやってきた。