血視点⑧ ミッキーアイル・ヴィルシーナ
春のマイルGⅠを制圧するディープ産駒。初制覇した年は、
2011年
桜花賞 安田記念
2013年
ヴィクトリアマイル
2014年
NHKマイルC
桜花賞は初年度から4連覇中。初年度産駒のトーセンラーは5歳でマイルCSを制し、阪神JFもブエナビスタの半妹が勝っているから、完全制覇にもうリーチ。達成すれば史上初だ。
勝ち馬の共通項として、レイズアネイティヴの血かノーザンダンサーのクロスを有しているという点が挙げられるが、それよりは外れの少ない優秀な種牡馬であることの証明というべきだろう。
しかし、2週連続の逃げ切りには驚いた。
内が有利で前残りになりやすい馬場を疾駆した2頭に共通する、ヌレイエフとレイズアネイティヴの血。
加えて、共にヌレイエフの父でレイズアネイティヴの父を母父に持つノーザンダンサーのクロスがなされた配合からは、徹底先行型のイメージは浮かばずとも、スピード型に傾倒した馬が出現は予見可能。
ミッキーアイルの母父は、世界を席巻した今世紀初期の象徴・ロックオブジブラルタル。
組み合わせの妙というよりは、見た目の印象通り。「ディープ的」の象徴だろう。
一方、Vマイル連覇のヴィルシーナは、ミッキーよりはバランスがよく、クラシックでは連続好走したが、晩成型を多く出すマキャヴェリアンやブラッシンググルームの血が、本質を引き出した。
おまけに、ヘイローの3×4×5という執拗なクロスでダメ押し。無骨に勝ちに行く姿は、見事に血統表とリンクしている。
さて、ディープの次なる一手は?
3000が先か、1200が先か。
皐月賞を制した後に、次の扉が開く。
泥かゴミか、ではなく
「来年のドバイWCはダートでの開催」
今冷静に考えてみると、どっちつかずの馬を救済する側面があったことも否定できなくて、ジャーナリストが的確に批評すればよかっただけのこと。浮かれた連中が多すぎた。
実は、その特殊性の部分を活かして、むしろ地方競馬で棲み分けと救済、それに差別化を図る意味で、流行の言葉を使うと、ダートとハーフハーフの割合で敷設してみたらどうだろうかと思っていたのだが、ドバイで金の話が出てきて尻込み。
タペタは失敗。が、同時にニューポリトラックの否定ではないと、しっかりと発信する力がマスコミには問われる。
その存在意義は、一定程度認められているオールウェザー。
高速馬場と欧州の重馬場では力を発揮できないけど、渋めの芝に向く馬にベストだったのは確か。
2000M不敗のヴィクトワールピサとて、2000Mのベストタイムは2:00.8。
でも、やっぱり米国馬が回避するような事態は本末転倒。これでは芝カテゴリーのイレギュラーマッチにしかなりえない。
芝をオールウェザーに変えた競馬場は、知る限り世界のどこにもないことが、最大の根拠である。
歴史を覆すような革命は、一日にしてならず。ただ、そのナイスアイディアを卑下する発言は、今こそ慎むべきだ。近代競馬が連綿と築いてきた、芝でスタミナを試し、ダートでスピードの限界を測るシステムへの挑戦は続く。
それでも、沈黙の時間が短いに越したことはない。
日々の研究から展開する未来図は、核の問題を劇的に解決する方法を編み出すプロセスに通ずるものがある。昨日のミスより、明日への希望を信じられる人間でありたい。