NHKマイルC -予想-
昨年と09年の勝ち馬は、単勝オッズ30倍台で10番人気の馬。オープン実績がそれなりにあり、今にして思えば低評価すぎた馬だったが、実力相応の評価を戦前、正確に判定できるはずもなく、両レースとも上位人気の馬は全て吹っ飛んだ。
ただ、10年からの3年間は1番人気馬が順当に勝って、しかもその中の2頭は古馬になってからも重賞を勝ったから、人気と実力がきっちり伴った、本当の意味で平穏な決着だった。そういう時は、決まって2着にも重賞を好走した人気馬が入ってくる。
少し掴みづらいレースだが、唯一変わらない性質がある。反動だ。
タイキフォーチュンを始め、キングカメハメハでさえも古馬になってからの飛躍を期待されながら、脚元の不安などでリタイアを余儀なくされた。彼らは、レースレコードによって未来を失ったのだ。
近年は、馬場の高速化も手伝って、2頭の走破時計を超えて走った馬は何頭もいるが、当時コースレコードで直線ごぼう抜きを見せたダノンシャンティも同じ。彼の場合は血統的要因も否定できないが、決定的なダメージを被る可能性を持ったレースへの参戦は、リスクとの戦いに直結する。
クラシックレース同様、このNHKマイルCも若駒の完成度以上に目に見えない成長力が勝負を分けてきた。
故に、基本距離における激烈なスピードマッチでは、クラシック2戦目よりもずっと消耗してしまうのかもしれない。
みんなが走れるから、競馬が厳しくなるのだ。
でも、恐々半端に仕上げて日本のGⅠを勝てるのは、数年に1頭いるかいないか。伝説の名馬に近い存在でなければ、運を掴むだけのタフさを磨いてきた馬だけが勝ち残る世界である。
買いたい馬が数多く顔を揃え、思われているよりかは混戦模様。
ホウライアキコから勝負したい。
牝馬は強く、牡馬が中くらいのレベルの年ならば、その経験を活かせる最高の舞台だと思う。
言わずもがな平坦向きのスピード型だが、要するに坂が問題なのではなく、気持ちが乗りすぎないかの方が重要なのだろう。そんなテーマを持つ馬が、叩き3戦目でも初の関東遠征というのは扱いが難しい。
能力は足りるのだろうが…。
ミッキーアイル<対抗>の作る流れを強引に抑え込むようなことがなければ、希望的観測だが、アメリカ血統の得意とする前ががりの展開を積極策から粘り込むことで底力が全開に発揮されるはずだ。
距離を意識した近走の差す形からは、少し違う策に出なければ、こちらに回ってきた意味はない。
多数レースに登録していたピークトラム<単穴>は、新潟2歳Sの3着馬。鞍上込みで、秘めたるマイル適性が不気味に光る。母は、1マイルでももたなかったタッチザピークだ。
東京マイルの法則
怒涛の6週連続GⅠ開催。残る5戦は、全て東京競馬場で行われる。
うち3つがマイル戦。それぞれに面白い特徴がある。
①NHKマイルCの変質
(外)ダービーは過去の産物。現在は、荒れるレースの一つ。
競馬場の形が変わってから、内国産馬でも勝てるようになった。また、改修後最も変質したと言えるのが、優勝馬のその後。
以前は初代覇者以外全てが古馬重賞を勝っていたが、以後だと4頭しかいない。カメハメハやディープスカイなどが勝っていないのも大きい。10回やってのことだから別のレースになったとも言える。
時代背景も変化したが、馬場の高速化も大きな要因だろう。
②ヴィクトリアマイルの格
反対に、こちらのレースでは、1、2着馬どちらかは3歳GⅠで2着以内に入った馬が、毎年必ず1頭は連対している。ヴィルシーナでも勝てたのだから、鉄板も鉄板。
が、今年のアユサンは少し微妙。4歳GⅠ連対馬ご一行は合わせて4頭いるから、大丈夫かもしれないが、やはり過去の好走馬の方が怖いか。
③安田記念はリピーターレース
スウヰイスーが61、62の酷斤を克服して連覇したのが最初。ちなみに、最初に勝ったのは3歳時。オークスは秋開催だった。
あとはその30年後、同じく桜花賞馬・ブロケードの2年連続2着という記録があるのみ。
長らくハンデ戦だったから仕方ないが、GⅠに昇格後からは連覇した2頭など、連続連対した馬が6頭いて、全馬1勝以上している。
共通点は、古馬のマイル重賞は未勝利だったということ。マイルの頂点を競うには、実に不釣り合いな傾向。
みんな走れる条件だからなのか。GⅠの中のGⅠらしいデータだ。